気が付けば理想に限りなく近づける事ができるはずの注文住宅から、
遠くブエノスアイレスまで来てしまったような状況に、私は愕然としました。
このままワールド・エクスプローラーで南極クルーズに行ってしまおうか。
回遊動線?
パントリーにウォークインクロゼット?
猫の為の設備?
あげくはZEH+?
何ひとつ無いじゃないか!!
何ひとつ無い。
これが注文住宅?!
はい、解約!
解散!!
私のお気持ちを表明した上で、夫とサシで話し合いとなりました。
私があまり悩まない、悩んでも「アグレッシブだな!」と言われるタイプなのに対し、夫は豆腐メンタルでぐずぐず悩みまくるタイプ。
向いている方向は同じなれど、道程が違う夫婦です。
しかし今回は、解約派の私に対し、夫は続行を表明しました。
しかも理由は後ろ向き(苦笑)
この数カ月の打ち合わせで豆腐メンタルがおぼろ豆腐となったらしく、
また同じことを繰り返すのが、もう辛いとの事。
マンションの引き渡し日も決まっています。
それに「ここまで来てしまったし」という業者に忖度した態度です。
私はといえば、
「いいや、断固解約。今までの時間とお金(頭金300万円)は無駄になるが、
この経験はプライスレス。次回の家建てに大いに貢献する」
そもそもこのハウスメーカーで、私達の予算ではこれが精一杯、最大値です。
この仕様で建てるしかないのです。
工事請負契約書を交わした、家建ての希望に満ちていた日を100とするならば、
現在の私の気持ちは50。
もう半分です。
それでも建てるの?
しかし、夫は「僕は75くらい」
そうね。
君の部屋まわりは、ほぼ希望通りですものね。
その分のしわ寄せが私の所に来てますが!
言いたくないけど、その土地の名義は私ね(現段階では私の父)
私の土地に私の家を建てるのに、
なんでこんなに私が我慢をしなければならないの?
体育館の床色のカーペットより酷いのだが?
解約するのなら別にもう何も気にしなくて良いのですが、
このまま進めるのであれば、決断を急がねばなりません。
工場発注の日が近づいています。
このハウスメーカーで建てるメリットは、
工法です。
昨今の職人さん不足を補う均一の躯体製造に安心感を求めた結果です。
そしてその工法の縛りがデミリットでもあります。
そのデミリットをぞんぶんに浴びたのが我が家でもあります。
正直、木造で外壁総タイル(塗り直し不要)、太陽光パネル、蓄電池、耐震、断熱、耐火、防音、そして気密、これらを私達が希望するレベルでクリアでき、
かつ予算内に収められるメーカーは、選べるほど無いのです。
夫の意見も確かにその通りなのです。
自宅マンションは売れてしまい、引き渡し日が決まっている。
他のメーカーに変えても、おそらくZEH+の取得は難しいかもしれない。
たぶんこのメーカーが一番、ZEH+に近い。
足りない発電量は、パネル1枚分。
あとたった1枚分です。
その僅差まで迫れたのは、このハウスメーカーだからこそ。
しかし、後ろのお宅2軒に頭を下げて、パネル設置の了解を取るなど、
自分達の利益ばかりに目がくらんだ畜生の行動ではないか。
自分達の品位を捨てる価値がZEH+にあるか。
他人様を差し置いて、自分達さえ良ければいいのか。
それは違う。
近隣の方々の穏やかで幸せな生活に不快な物を投げ込んではいけない。
これくらいいいのでは?
そう言っていいのは被害側だけです。
加害側に言う権利はありません。加害側が一番言ってはいけない言葉です。
私達が憂いのない生活を送りたいと思うのと同じように、
近隣の方々も平和で幸せな生活を望んでいます。
それを壊す権利は全ての人にありません。
自分達の幸せが、他人の我慢の上に成り立ってはいけない。
私達はZEH+の取得を諦める事にしました。
そして契約はこのまま続行する事となりました。