昨日、友だちと映画を観に行った。
アキ カリウスマキ監督の「枯葉」
ミニシアターの元町映画館。
地味なこの映画にどのくらいの人が来てるのかな?
満席だった。
あ、マスク忘れた、と独り言を言ったら、チケットを買う人の列の整理をしてた男性が「どうぞ」と一枚。
映画が始まると、みんなの視線がスクリーンにまっすぐに注がれている。みんな映画が好きな仲間っていう感じ。
私は湯布院映画祭を思い出してしまった。
映画館のない町で映画を観よう、と始められた映画祭。湯布院映画祭には、映画好きの老若男女が全国から集まった。
八月に開催されるから、夏休み気分だった。そこでは過去の名作と、未公開の新作の日本映画が上映されて、毎晩お酒を飲みながら観た映画について、しゃべったものだった。
私は多分30代から40代のころ、10年くらい通ったかな。懐かしい気持ちがよみがえる。
さて、映画「枯葉」はとても良かった。
この監督の映画の主役はいつも中高年で、ぱっとしない、不器用な、そして貧しい労働者。
かたやスーパー勤務の女。賞味期限切れのパンをカバンに入れたため、解雇。かたや工場勤めの男。仕事中にお酒を飲んで解雇。
そんな二人が出会う。出会ったのになかなか再会できない。
なんかもどかしい。人生なかなかうまくいかないものだ、と思う。けど微笑ましい。
時代はまさに今。時々つけられるラジオからは、ロシアのウクライナ侵攻のニュースが流れている。
音楽も印象的で、最初は「竹田の子守唄」
もちろんフィンランド語。最後は「枯葉」
途中、カラオケに行くシーンも。
犬も途中から出てくる。工場をウロウロしてた野良犬を連れ帰った女は、それからいつも犬と一緒。
映画の後半に、木立と落ち葉の秋の風景が一瞬、物語と関係ない感じで映される。光がさして、神々しい。
最後の枯葉の曲もフィンランド語だが、訳は
「また一瞬輝く秋」のような日本語になっていた。私たちの季節。光は差してくる。
久しぶりに観た映画に、感動した。
そのあと、友だちとビーフシチューを食べ、コーヒーを飲み、元町商店街に住んでる高校時代の友だちのところへ行き(彼女は、高校生の私にサリンジャーのライ麦畑て捕まえて、を貸してくれた)
濃い1日を過ごしたよ、バディ。