「花が散りゆく頃にも」

ビリー初期の頃の曲ってメロディとコードの当たりをそこまで厳密にしてこなくて、
バディーズになってから不良品種EDITを作るにあたり当時の楽曲の作りを紐解くと

なんじゃこりゃ

って曲がわりとある。

メロディとコード、どっちを優先的に残すか?選択したら
もちろんメロディなわけで。
そのメロディを活かすコード進行を再構築していくと
おのずと曖昧だったメロディラインの正解も見えてきて

おお!やはりこんなに良い曲だったんだぁ!

と再認識してみたり。

不良品種EDITをリリースするタイミング以外でもそんな作業を趣味的にときおりしていたんだけど

この曲と『イノチ燃えゆ』は
いつか不良品種EDITとして発表したいと思っていた。

『イノチ燃えゆ』はアレンジするところまで行き着かなかったので、またいつかって事で、
今回このアルバムを締めくくる曲として『花が散りゆく頃にも』は完成されました。

『サラババン歌』と共にドラムレスを前提にアレンジするにあたり本当に苦しんだ曲です。

ドラムがないという事が如何に難しいか?
『サラババン歌』に比べ曲尺も大きく、構成も多いので曲の中にドラマ性を持たせるアレンジ。
何度も何度も一から作り直しました。

行き着いた形はピアノのロングトーンから始まるアレンジ。

世界的に有名なスピーカーを作る技師さんが言った言葉、

「良い音とは静かな音である」

これは静かな楽曲という意味ではなく、
できるだけピュアな音の振動をどう伝えるか?という意味で、
ボク的解釈で言えば「良い音楽」もそこに繋がる。

「良い音楽とは静かな音楽だ」

べつにゆっくりである事もバラードやアコースティックである必要もない。
激しく音数の多い楽曲でも“静かな音楽”ってヤァツは存在する。

そして、『ビューティフルグッバイ』からの話の続きをすると

ミニアルバム『ベイビースグッバイ 再会-Re-MIX-』の一曲目に始まったこの曲を
ボクらは最後のアルバムの最後の曲にする事にした。

伝えたい事は『ビューティフルグッバイ』の「バイバイ とりあえずこれでイイだろう」ではなく、
「花が散りゆく頃にも ボクはここにいるよ それはキミへの光』だった。

今回、この不良品種EDITの歌入れのディレクションしている時、
10年前のオリジナルの歌入れをしている貘を思い出した。
あの時もボクがディレクションしてたなぁって。

なんつって、

色々、意味合いや感情に浸るような話してるけど、

とにかく、このアレンジは苦労した!

デモ作って、レコーディングにしててもまだフワフワしてて、
ミックスに入ってからもエンジニアと色々試して、
マスタリングでなんとか落ち着いた。

そして、いま、こうして聴いてみると…

“静かな音楽”を完成させる事ができた。

幸せだ。


ミネムラなんつー、キャラだかなんだかわからないヘンチクリンな
気軽にナメた態度で接する事ができちまうバンドマンなんて
どこかに忘れてきてしまうくらい、


尊い音楽の創作をする人間になれた気がした。

『花が散りゆく頃』不良品種EDITは
たぶん現時点でのボクらへのレクイエムを作ったんだ。



ミネムラ