しなやかさって?力の伝導と波動効果② | 身体の機能から考えるバドミントンのコンディショニング&ストレングストレーニング

身体の機能から考えるバドミントンのコンディショニング&ストレングストレーニング

私の本職はトレーナーです。最も得意なバドミントンに特化して、自分の専門知識を活かせたらと思います。スマッシュを速くするのはどうしたらいい?動き出しを速くするには?膝や肩が痛くなる原因は?そんな疑問を可能な限りわかりやすく説明していけたらと思います。

前回は「いかに効率よく力をラケットヘッドに伝えていくか」について物理的な観点から考察していきました。
まだ、半分しかお伝えしてないのですが、思いのほか長くなってしまったのでした。
今回は残り半分をお伝えしたいと思います。できるかな?

まずは前回のまとめです。

末端の速度をあげるためには、近位の運動量を確保する必要がありました。
その運動量を確保、慣性モーメントを大きくするためには、質量が必要です。
ですので、身体の中で最も質量のある「体幹」から大きな力を発生することがポイントとなります。そして、「体幹」で生み出した大きな慣性モーメントを、今度は回転速度に変換していくことが必要です。そのためには、フィギュアスケートのスピンのように、それぞれの関節で慣性モーメントを小さくさせながら、角運動量をラケットに向けて受け渡していくことが重要です。

といった感じのところまでお伝えしました。
今回はその先へ進みたいと思います。

①「肩・肘・手首の角度」
「体幹」で生み出した大きな慣性モーメントを小さくして角運動量を受け渡していくためには、モーメントアーム(回転軸からの距離)を短くする必要があります。
例えば、腕を耳につけて、腕からラケットまでを一直線に伸ばしてしまうとどうでしょう?
肩からラケットまでの距離が長く、モーメントアームが長すぎてラケットが速く振れないのは、簡単に想像できると思います。私が中学生の時はこうやって教わりました。
ですので、肩、肘、手首を適切に力が出やすい角度に曲げることが必要になります。
指導者のための教科書によると、肩は体軸に対して90°~110°、手首もいわゆるリストスタンド90°~110°、肘は、肩・肘が理想的な角度であり、ラケットヘッドがまっすぐにたっていれば、自然に決まります。やっぱりリストスタンドは大事ですね。
また、先端に向かえば向かうほど各関節が段々短くなっているのも、慣性モーメントを自然に小さくするのに役立っていると考えると人間の身体って凄いなあと思います。
唯一、ラケットが先端で長くなってしまっていますが、だからこそラケットの弾性性能が注目されるわけですね。

②「SSC(ストレッチショートニングサイクル)の利用」
このSSCとは、筋肉の反射という特性を利用し、収縮スピードをあげるテクニックです。
垂直跳びを例にとってみると、一度飛びたい方向とは逆にしゃがむと思います。そして、そのしゃがみ込みもゆーっくりしゃがんでジャンプするよりも、瞬間的にしゃがみこんで、ジャンプしたほうが高く速く飛べるのがわかると思います。
これは、筋肉は伸ばされるとゴムのように弾性エネルギーをためることができることと、急激に伸ばされると、そのあと収縮速度が高まるという特性を利用しています。
オーバーヘッドストロークに置き換えてみます。
インパクトの瞬間は、肩関節は主に「水平内転・内旋」、手首は「回内」という力を発揮しています。ということは、この力をSSCを使って筋肉の収縮速度を上げるためには、逆の力を発揮してからスウィングをすると良いということになります。つまり、肩関節の「水平外転・外旋」手首の「回外」です。これ実はみなさん自然にやってるんですけど、これを知っててやるのと、知らないでやるのでは意識がまったく違います。
また、わかりやすいので「肩と手首」で説明しましたが、可動性を持つ関節のすべてで行われています。

③「ムチ様の力伝達と波動効果」
驚くほどに、まだまだラケットスピードを効率よく伝えるために利用しているものがあります。
それが、このムチ様の力伝達と波動効果です。
ゴムのような弾力のある物質に、相反する力をわずかに時間をずらし発揮することによって、その力を先端に向かって移動させることができます。波を想像するとお分かりになると思います。
これが波動効果です。この波動は、波長が大きくなるほど波動スピードは高まるので、前回の話とリンクしますが、最初に大きな力を生み出すこと(慣性モーメントを大きくする)が大事だということです。
そして、ムチのように「並進運動をしている物体の先端に逆方向の力を衝突させると、衝突したほうと逆の先端のスピードがあがる」のです。
勢いよく振り出したムチをタイミングよく逆方向に振り戻すと「ピシャッ」と凄い勢いがでますよね。そういう力も利用しているようです。

この感覚は、洗濯物を干す際に、バシッバシッと水気を飛ばす感覚と同じです。
実際、タオルで練習したりします。

やっぱり長くなりました。
あともう一息、「ジャイロ効果」と「左手の使い方」が残っています。
また次回にさせて下さい。

ご意見等ありましたらご遠慮なくコメントください。
今日もお読み頂いてありがとうございます。嬉しい限りです。
読み返してみると自分でも内容が重たいと思ってしまいました。
もっとわかりやすく写真等を増やしますね。