息子が成長とともに、自分の親を知りたがる。
話せない。
話したくない。
本当のことは・・・。
あの日々があったからあなたがいるのだと。
あの悪意に満たされた空間で・・・。
吐きそうになるほど・・・。
子供にフィルターは通じない。
どう、伝えれば・・・
どう、向き合えばいいのか・・・
どこから話したらいいのか・・・
分からない。
年頃になれば言えなくもないかも知れない。
それでも辛いことに変わりはない。
もしも、自分が・・・
僕が息子の立場なら・・・
知りたくない、
聞きたくなかった。
出来る事なら一生このまま黙っていたい。
本当のことだけは・・・。
生まれてから息子の記憶の中にヒトはいない。
ただ、
どうして片親なのか・・・。
クラスメートや友達にからかわれることもあった。
片親だからと、偏見を受けることも、
1度や2度じゃない。
片親のところの子と、
遊んではいけない。
生活の環境も感覚も、
どうしたって二親揃っているところとは、ずれてくる。
僕は息子に、
甘い。
それは、自他ともに認める。
その甘いの感覚もまた、
ずれているだろう。
息子の望むものを、
無制限とまではいかずとも、それなりに与えてしまっている。
けれど、
あそこでの日々を思えば息子につい・・・
だが、
その家、その家庭の事情や状況もあるんだと想像してほしい。
仕事上どうしても、帰宅時間が予定通りには帰れない。
土日祝日は、逆に出勤しなければならない。
なら、仕事を変えればいいと思うだろう。
実際、僕も変えようとした。
だが、片親で子供が小さいという理由で、
正規では雇ってもらえない。
それでも良くて、
子供を優先させられる仕事は、
そんなに多くはない。
それが、現実だ。
この息子を育てると決めたんだったら、
初めから分かっていたことだと、
言われてしまうことが多い。
だが、そこもまたフィルターは
[そうなんですけどね・・・と言え]
「そうなんですけど・・・思ってた以上に・・・。」
そこに僕はいない。
僕の考えや感情はフィルターが遮ってしまう。
自己防衛と言えば聞こえはいいかも知れない。
だがそんな格好の良いものでも何でもない。
ただ、
フィルターはしこりが作り出したもの。
しこりにとって自分を上回る恐怖が僕に押しかかれば、
自分への恐怖心が薄れる。
色を失っても、
まだ尚僕の支配を諦めてはいないんだ。
そうやって日常をしこりに侵され、
過ぎていく。