雨の日には、雨の日の時間が流れ・・・
いまは、雲海に呑み込まれているのだろうか。
渦巻く霧に、見慣れた山の姿さえ隠されている。
この梅雨の湿度が、Monsoon Asia の文化を育て、蚕も育てる。
いま、わたしは、蚕と共に寝起きしている。
「寝ていたら、蚕の桑を食む音がした。」とは、
家で棚飼いをしていた人たちの、子供の頃の記憶。
そういう記憶を持つ人とは、世代も、育った土地も違うのに、
ふと、どこか通じあったような気がするときがある。
雨の日には、いつも聞こえる谷川のせせらぎの音が遠ざかり、
そのかわりに、雨垂れが庭をたたく音と、
蚕が桑を食む小さな音が大きく響く。


