茶摘み。–お茶と養蚕と海と山と。– | ーとんとん機音日記ー

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山間部の限界集落に移り住んで、
“養蚕・糸とり・機織り”

手織りの草木染め紬を織っている・・・。
染織作家の"機織り工房"の日記



きょう、近くの茶畑で茶摘みが始まりました。
周辺では高齢化や持ち主が集落から出て行って、
放置されて伸び放題になった茶畑も幾つか目につきます。
機械でできないところや、小さな茶畑などは、
いまでも人の手で摘み採っています。

$ーとんとん機音日記ー-茶摘み01



以前にも、少しふれたことがありますが、
この辺りでは、田植えが済むと茶摘みが始まります。

今では、この山間の集落には、
親戚がいるか、アマゴ釣りか、何か用事がなければ、
他所から人が訪れることはありませんが、
昔は、茶摘みの時期には伊勢や志摩の方から、
海女さん達が泊まり込みで働きに来て、
絣ぎもん(着物)に赤襷で茶摘みする、その艶やかな姿は、
若い男衆達の心を惹きつけ、結ばれた例も多いと聞きます。

$ーとんとん機音日記ー-茶摘み02



このような季節の労働だけでなく、
山深い山中に舟靈さんが祀られ、
漁をする人達の信仰を集めている例や、
漁具などに用いられる藤や葛のなどの、
植物繊維製品が山側から海の側に供給されている例など、
海辺の集落と山の集落との、
密接な交流には興味深いものがあります。


お茶の話に戻りますが、・・・。
この辺りで栽培されている、お茶の品種には、
“やぶきた”と昔からつくられていた在来品種がありますが、
“やぶきた”は、後から入って来た品種で、・・・。
輸出生糸が盛んな明治の頃には、
茶畑や水の利が悪い田圃が桑畑に転作され、
昭和恐慌以降に、それ等がまた、茶畑に転作されたので、
その頃から栽培されるようになったのだと思います。

地元の人は、在来種の方が、
“やぶきた”よりも美味しいと言います。

霧が巻くところのお茶は美味しいと聞きますから、
この辺のお茶は隠れた名産品なのです。
それに、地元の人が美味しいと言う、
在来種のお茶など、
特産品としてブランド化してもいいようなものですが、
しかし、茶畑は山肌の急な傾斜地に設けられている事が多く、
管理が大変なので、高齢化によって衰退して行くばかりです。


$ーとんとん機音日記ー-茶摘み03


茶摘みの写真を撮影させて頂いた時に、
ちょっと、養蚕の事なども御聞きしてみると、
昔、この集落に山口さんという方が経営する個人製糸場があったそうです。
郷土資料等には、三重県一志郡八幡村に製糸場が一ヶ所あったとの記載がありますが、そのことでしょうか。?

小さい頃のことということで、
また、その家の方も尾鷲の方へ出て行かれたということで、
それ以上の詳しい事はわかりませんが、・・・。<

蚕を棚飼していた様子や、
足踏み式のダルマ製糸器で糸をとっていた様子を、
こどもの頃に見たことがあると御聞かせ下さいました。

$ーとんとん機音日記ー-茶摘み04



*・・・・・・《この記事に関係して参考になるサイト》・・・・・・*

●お茶の品種“やぶきた”について、・・・。
●社団法人農林水産技術情報協会さま「杉山彦三郎の「やぶきた」」