機織りのこと。 | ーとんとん機音日記ー

ーとんとん機音日記ー

山間部の限界集落に移り住んで、
“養蚕・糸とり・機織り”

手織りの草木染め紬を織っている・・・。
染織作家の"機織り工房"の日記

 「なにやっているの。?」と尋ねられて、「機織りやっています。」なんて答えると、「いまどき。」と驚かれるか、「そういう手仕事ができてうらやましい。」というような事を言われるか、「まぁ、だいたい、どちらかの反応が返ってくることが多いのですが・・・。」

 「そうですね。確かに、"いまどき。?"なことをしていると思います。」
 でも、手でとった真綿糸や、手廻しの座繰り器でひいた糸を使って、手機で織った布はふんわりして、肌触りがとってもいいんですよ。
 けれども、残念なことに、そんなに量はつくれません。
例えば、糸をつくってもらっている東 宣江さんに聞いてみると、
一反分の糸をつくるのに、一日7時間くらい手廻しの座繰り器を廻し続けて平均して4~5日は、かかるそうです。

 そのようにして出来上がった糸が、私のところに届き、染めて、そして織るのに高機なら2週間くらい、地機(いざり機)なら一ヶ月くらい、最低でもかかってしまいます。
 実際には、染めた糸はすぐには使わずに、ある程度の期間を保管して色を落ち着かせてから使うので、織るには以前に染めておいた糸を使うことが多いのですが、そういう点を考えずに単純に計算しても、一ヶ月から二ヶ月に一反のペースが最大の生産ペースだと思うので、「とっても効率が悪いですね。」(*^o^*)

機に張られた絹糸

いざり_織り


 このように効率が悪く、その上作業の進み具合が天候に左右されることも多いので、こういう手仕事のことを"自然の呼吸を感じて仕事するスローライフ"なんて言うひともいますけど、それは大きな誤解でスローなんてとんでもなく、次から次へとやらなきゃいけないことがとても多くて、「とっても、とっても、ビジィライフです。」