またショートショート書いてみました。
この物語はフィクションです。
著作権は筆者に帰属します。
転載はしないでください。
雪
1月の札幌は、いつからか
忘れてしまうくらい連日、
雪が降り続いていた。
敏は「また雪かきをしなければ…」と
朝、起きる度に憂鬱になってしまった。
雪かきは結構な重労働だ。
雪かき用のスコップを使うと
雪を持ち上げるため、とたんに腰が痛くなる。
一気に大量の除雪を行なえる
ママさんダンプを使うと
足に疲れがたまり次の日が大変だ。
いずれにしろ、この時期雪国に住むものは、
男も女も少なからず、マッチョになる。
雪が降るということは、雲に覆われた空が
続いているということだ。
この時期の雪雲は真っ黒で分厚い。
彼らは太陽の光が間を抜けて
漏れてくることも許さない
厳しく冷たい性格のようだ。
きっと雪とともにやってくる氷点下の寒さも
雲の性格を悪くしている?見せる?
原因かもしれない。
敏は今朝も体に負担をかける雪と
性格の悪い雲に阻まれて太陽の光に
見守られることなく、朝らしくない朝、
出勤前に大汗をかいて雪かきをしている。
昨日から今日にかけて降った雪の量は
30cmを超えていた。
「もういい加減にしてくれよ~」
雪かきを始める前から敏はぼやき通しである。
昨夜は遅くまで残業をしていたので
今朝は起きるのも辛かった。
そして、起ききらない体にママさんダンプは
ことのほかこたえる。
「暖かいところに住みたい…」
敏のぼやきは留まるところを知らない。
それでも何とか30分ほどで
雪かきが終ると敏は温かい家の中に戻り
シャワーを浴びることにした。
年末から妻子は実家に帰省しているので
一人ぼっちの一週間。
まぁ気楽と言えば気楽なのだが、
なんとなく元気がわいてこない。
湯沸かし器のスイッチを入れてバスルームへ。
寒さに震えながらシャワーをひねる。
「あれ?」
嫌な予感がして何度もハンドルをひねるが
一向にお湯が出てこない。もしかして…。
敏は裸のままバスルームを飛び出して
洗面所の蛇口をひねってみた。
やっぱり…。ここからも水が出てこない。
この時期、北海道の朝を突然襲う水道管の凍結だ。
夜中の気温が氷点下10℃を超えるような日は、
テレビの天気予報で
「水道管の凍結に注意しましょう。」と
予報が出るほど家庭にとっては一大事。
こうなると朝の生活は停止する。
不幸にも、敏は昨夜、
テレビを見ることもなくベッドに入った。
「全てが俺を鬱にする!」
どうしようない憤りが
行き場のない怒りとなって込み上げてくる。
ただ、敏はショックに耐え、
身支度をして会社へ向かうしかない。
…続く