モスクワに着いて、シベリア鉄道で同室になったシンガポール人の青年と別れた。

地下鉄で最後の挨拶をして、ホテルに入った。そのとたん、急激な孤独をあじあわざるを得なかった。

私はこれまで恵まれていたと思った。人と旅をするということはなんと有難いことなのであろう -

言葉の通じぬ北の国、頼れる人はいない。
それを求めたのか?
いや、汽車に乗りたい。どこまでも乗りたい。その夢の果てにあったのは、孤独のもたらす現実であった。
まずは風呂に入れなかったので、シャワーを浴びた。
カランからシャワーにする方法がわからなかった。
誰にも尋ねようがない。その時、孤独がピークになった。
笑える。ハハハ。


疲れて、ベッドに倒れたかったが、モスクワの夜は唯一日である。

私は街に出た。

今日は月曜。
モスクワの劇場は月曜が休館日らしい。
しかし、ツーリストセンターはやっている劇場を教えてくれた。

雪の街を彷徨い、いい加減歩いて、漸くチアートル(劇場)を見つけた。

バレエを初めて見た。

時差が6時間もあって、日本なら既に日付が変わっている頃でしょうに、不思議と眠らなかった。

私が不思議…

私はいま、夕食の卓にいる。