私の故郷に近いターミナルに、小さなBARがある。

10人くらい入れば一杯になる。小さな店である。
照明は抑えられ、店内は飾りつけられていない。シンプルな店である。


電車からお店が見えるので、かねてより気になっていたが、初めて行ったのは今年に入ってからかと思う。

マスターがお一人で切り盛りをしていて、バーボンを中心にしたウィスキーが置いてある。
私の趣味がまだスコッチウイスキーから抜け出していないので、マスターには悪いと思いながら、シングルモルトをストレートで頂く。

ルールがいくつかあって、まず携帯電話は禁止である。
そして、3人以上での来店も禁止である。

すべてはクラシックとウィスキーをゆっくりと楽しむためである。

仕事が22時に終わって、地元に戻ってくるのは0時に近い。
まだライトが灯っているから、私はドアをくぐる。

ウィスキーを傾けながら、クラシックを聴く。
私もかつてトランペットを吹いていたことがあったので、懐かしい曲を聴くと嬉しい。
聴きたい曲をオーダーできるのも楽しい。

他のBARの話を聞いて、意外なるウィスキーの話を聞いて、タバコを吸って、私はボソボソと好きな旅の話をする。

豊かな時間である。

世の中に擦れて、目付きが厳しくなったと思うとき、立ち寄ることが多い。

良い店である。