今日は名古屋フィルハーモニー交響楽団のクローズドのコンサート本番。


リハーサル日の設定がない、いわゆる「ゲネ本」の仕事。


学生の頃、愛知芸大のオケを振ってくださっていた工藤俊幸先生にスタッフをしていた僕は近づいて「どんな本番が一番緊張しますか。」と尋ねたことがあった。

先生はステージ袖に積んである山台の上に座っていたが、すぐに「ゲネ本の仕事かな」と答えられた。


僕もこういう本番は、2年前くらいに小森さんが濃厚接触者になったため乗れなくなったセントラル愛知交響楽団のボレロの仕事に急遽当日のみ行った以来だ。


あの時も変な汗が出てきたが、今回はどちらかと言えばストレスの少ないはずのラプソディ・イン・ブルーだが妙な緊張が自分を縛る。

周辺に座るオケマンたちはこういう時にどう自分を持っていくかというのを経験から習得しているのだろう。

職人的な業(わざ)は経験でしか習得できない。


フルートの席と打楽器の席に卒業生の姿があった。

こういう日のために頑張ってきた。

そしてもうこんな日は珍しくなくなってきた。

彼女たちの姿が自分を奮い立たせてくれる。

「いつか現場で」と偉そうなことを言った人がいい加減な仕事はできない。

ソリストの五十嵐薫子さんはラプソディ・イン・ブルーが初めてとのことだったが、若々しくパワフルかつ艶っぽい演奏で喝采を浴びていた。

いつかあの背中が卒業生だったらと想像すると、これまで以上に頑張っていこうと思った。