ジョン・ケージの「無音音楽作品」として有名な「4分33秒」。


この作品は、ちょうど商業的音楽のサイズ感と同程度で、1952年、戦後の時代、録音再生技術機器の格段の進歩の中で安易なBGMを音楽を垂れ流すレコード会社への当てつけのような形で生まれたと言われる。


しかしながらこの作品は「無音」ではない。

奏者が何もしないというだけで、空間には常に何かしらの音が存在する。


ケージはハーバード大学の無響室の中で自分の生理音を聴き、生きている以上完全な無音は存在し得ないことに気づいたという。


「音楽を鑑賞する」という時間の中で「強制的な静寂」を作り出すことにより、ケージが自分の生命の音に気付いたように、日常気づかれることのない小さな音の僅かな主張に耳を傾けその小さな何かに気付こうとする。


途切れることのない音と情報と刺激に塗れた現代の我々に今必要な音楽はこういったものかもしれない。

「Tacet(タセット タチェット)」は、「長い休み」。