本日
1限 2年生演奏研究
2限 2年生ソルフェージュ
4限 会議
昼休み 個人面談
5限 1年生レッスン
6限 1年生レッスン
7限 1年生レッスン
17:30 名古屋音大レッスン
18:00 名古屋音大管楽合奏授業
19:30 名古屋音大アンサンブルレッスン

長い1日だった。

最後のアンサンブルレッスンは、松本いずみ(IZUMI)さんの「悲しみの三重奏曲」に名古屋音大の学生たちが取り組んでいるとのことで聴かせてもらった。

美しく演奏してくれていたが、この作品こそ「無言歌」であり、もっと歌にして欲しいとお願いした。

器楽ではあるが「悲しみの三重唱」とか、「哀歌」などのタイトルでもしっくり来るかもしれないが、ラフマニノフの故事に倣いタイトルは僕が決めていずみさんにお願いした。

音楽は何か忘れさせてくれることはないが、あの時、あの場所に連れて行ってくれ、年月を経るごとに心をあたためてくれる。

昨年出版された楽譜に掲載していただいた拙文をここにも再掲させていただきたい。


悲しみの三重奏曲・・・・・

いずみさんの作品に初めて出会ったのは、アルト・サクソフォーンの四重奏曲、「月夜に咲く花」でした。限られた音域を利用しながら、和声的にも多声的にも、心の表面から奥深くに沁み込んでくるような暖かさと美しさを感じたのを覚えています。

「悲しみの三重奏曲」を委嘱する直前、僕は近しい友人を亡くしました。村島利章というコントラバス奏者です。白血病でした。利章とは学生の頃から一緒に数年間タンゴグループで活動し、たくさんの場所でライブをしました。僕は彼以上にピュアで優しく愛に満ちた男を、今も知らないかもしれません。彼を慕う多くの友人たちも、きっと同じ気持ちだと思います。

あの時、その悲嘆をいずみさんに押し付けたのは、あまりに酷い(むごい)ことをしたと今は思っています。しかしいずみさんはひたすらに僕の気持ちを汲み、限界まで寄り添おうとしてくれました。

タイトルの「悲しみの三重奏曲」は、チャイコフスキーを悼んで書かれたラフマニノフの同名の作品から賜っています。そう、昔から音楽家は、悲しみも歓びも自分自身で音楽に刻み込んできたものです。作曲という才に恵まれなかった僕の代弁者となってくれ、満身創痍でこの作品を書き上げて下さったいずみさんには、畏敬の念と深い感謝しかありません。

この作品は出版前からたくさんの奏者に愛され、時に海を越えて演奏されてきたそうです。僕はそういう話を聞く度に、利章が色んなところでまだ生きているように感じてしまうのです。

と、ここまで自分の想いだけを勝手に吐露してしまいましたが、この作品は紛れもなくいずみさんの作品であり、僕もその作品に癒され、胸を打たれた1人です。これから更に多くの音楽家の方々により、それぞれの物語が生まれ、多くの人々の心を温めてくれることと思います。