Artisanと、Artistという言葉がある。
前者は「職人」、後者は「芸術家」と邦訳されている。
これはたまにお互いに批判的な意味を持ちながら使われることもある言葉らしいが、僕自身はこの両方であり続けたいと思っている。
オーケストラの中で、決まったタイミングでそこに相応しい音を瞬間的に生み出すのは正に職人的であり、芸術的でもある。
また独奏で客席が熱くなるようなパフォーマンスは芸術的でありながら、その音楽は決して感情的なだけではなく、職人的なコントロールによって生まれる。
楽器のリペアマンなども然りで、職人的な技術は時に芸術的とも感じられる。
刀工、陶芸家などは元々職人ではあるが、芸術的域に達していると評価をされる人たちも少なくない。
そもそもバッハやヘンデル、さらに昔の音楽家たちはおそらく自分たちを芸術家というよりも音楽を作る職人というマインドが強かったとも考えられる。
