一昔前、僕が中高生の頃の吹奏楽コンクールでは、自由曲はオーケストラのアレンジものか、アメリカを中心とした海外の作曲家による作品がほとんどで、日本人の作曲家の作品は限られていた。


大栗裕、兼田敏といった日本作曲界の重鎮と、当時若手の伊藤康英氏、今パッと浮かぶのはそのくらいであるのは僕の勉強不足ではあるが。


しかしながら、この20年で情況は一変した。

福島弘和氏、福田洋介氏など課題曲でヒットした作曲家や、八木澤教司氏、樽屋雅徳氏などの超若手作曲家の作品が全国大会で演奏されるようになると、全国的に空前の委嘱ブームが到来したように感じる。


吹奏楽連盟の委嘱から、学校、団体単位の委嘱となり、全国大会で演奏されそれがCDなどに音源化され、楽譜として出版されると翌年には早くも流行曲が誕生し、コンクールの自由曲は途端に邦人作品が占めていくようになっていく。


これはインターネットなどを通じて作曲家本人とのコンタクトが取りやすくなったのこともあるだろう。


この現象は17〜18世紀バロック時代から古典派の時代、領主や雇い主、または生徒や家族のために書いた楽譜が、公に出版され始めた頃と似ている気もする。


楽譜の出版社というのが一般的になってくるのもこの時期だ。(初の音楽出版社設立は16世紀始め頃からといわれる)


そしてそれまで雇われていた音楽職人たちが、19世紀になるとベートーヴェンを皮切りに雇われることを拒み(フランス革命等による社会的変化により雇用先も減少)、作曲をビジネスにしていく音楽芸術家がどんどん現れていく。


ロマン派の終焉から約120年。

今のオーケストラのコンサートプログラムはその頃から時間のテストをパスしてきた名曲が大半を占めながら、委嘱によって誕生した新作や国際コンクールで高い評価を得た現代作品が少しずつ並んだりもする。


100年後、吹奏楽のコンサートはどうなっているのだろう。


新作あり、過酷な時間審査を通過した古今東西の吹奏楽オリジナルの名曲あり、クラシックの名曲の編曲作品あり、クラシック化されたポップスあり。


今よりさらに楽しく様々に彩られたステージへと進化していくのだろうなと考えると楽しい。


注: 上記はあくまでも僕の目から見た世界観です。


高校時代の堀江。