リサイタルが終演した。


まだ色々と感想はまとまらないが、今までにない本番だったことは確かだ。


共演してくれたヒム・クワイアは、この20年の構想でついに実現したアンサンブル。


名古屋フィルの大久保さんや寺島さんとの共演も、20年間の関係性がなければとてもじゃないけど共演してほしいとは烏滸がましくて言えなかっただろう。


西澤さんの新作の委嘱も、20年間の中で何度も西澤作品に助けられてきた故に、「この人しかいない」という強い気持ちが芽生え、委嘱交渉の後押しをしてくれた。(打ち上げでは交渉がうまいという賛辞をいただいた)


そして雲井先生。

何度も共演していただいているのは本当に贅沢なことだったが、昨日のそれは今までのとは質が違う、まさにマルセル・ミュールの伝説の再現に自分が携わっている奇跡をステージ上で感じた。


前半の最後にプログラミングされたブランデンブルク協奏曲、大きな拍手をいただきながら休憩に入る前に3楽章だけアンコールとしてもう一度演奏した。


大久保さんはピッコロに持ち替え、雲井先生は最後の音を楽譜より4度高い主音で終えると、音が鳴り止む前に拍手が起きた。

こういう経験は初めてな気がする。

これこそライブだ。


バッハ=西澤さんのパルティータは、初めて全部通したことになる。

マスランカのマウンテンロードやソナタ、コンチェルトを演奏した時に感じた、過酷で、貴い旅だった。

シャコンヌのヴァリエーションの中では普段出ないような音が自分から出てくる瞬間が何度かあったのは、バッハと西澤さんの音楽の力としか言えない。


ほぼ満席の(に見えた)お客様と、出演者、ゲストの皆様、いつも隅々にまで行き届いたマネージメントをしてくれる波多野さんはじめスタッフの方々に心からの感謝を。


カメラマンはフルーティストの矢野さん。

素敵な写真をたくさん撮って下さった。