この夏の吹奏楽関係の仕事がだいたい終わった。


まだ上位大会に向けてはこれからだが、リサイタルモードに切り替える。


レッスンをしていたり、ホール練習を聴いたり、審査席に座りながら一生懸命に音楽をする大人たちを眺めていると、時に「羨ましい」という感情が胸をふっと撫でることがある。


昔よりは垣根が低くなってきたようにも感じるが、オーケストラと吹奏楽には、編成、歴史、レパートリーに違いはあるが、目指す芸術性に違いはないと思っている。


そもそも芸術性なんて、自分たちで決めることではない。

美術史の中にはメーヘレンや滝川太郎の贋作スキャンダルがあるが、僕はメーヘレンのフェルメールの贋作は贋作でも素晴らしいと素人ながら思ってしまう。

フェルメールじゃなければ芸術ではないと言えるだろうか。


今はオーケストラが吹奏楽作品の編曲版を演奏することもある。


中学校での部活動の存在が危ぶまれる今、子どもたちが音楽に触れ、始め、ハマるきっかけが激減しようとしている。


当然高校吹奏楽の未来にも影響がないわけはないし、その先ももちろんだ。


音楽のない人生は寂しい。


今は自分の立場でできることを探し、躊躇なく動いていくしかない。



今日は某県の素晴らしいホールでの練習に立ち合わせていただいたが、その際顧問の先生に、準備に時間がかかるからステージ使って下さいと勧めてくださった。


お言葉に甘えて少し音出しをさせてもらっていると、高校生たちが「ほらー、ホールが喜んでるやん。うちらいつも泣かせてばっかりやから頑張ろ」と言うのが聞こえてきた。


高校生の感受性は本当に豊かだ。

僕も頑張ろ。