音楽科3年生の演奏研究の授業では現代音楽を取り上げているが、その中に現代美術についても触れることにしている。
ある時から絵画においてもモダニズムが加速することになる。
それは音楽がそうであったことと酷似する現象に感じる。
その中でピカソにも触れる。
多面的な視点を一枚の絵に描き出すいわゆる「キュビスム」を語るためだ。
しかしピカソ、いや、パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンディシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソのことを知れば知るほど、自分が語ってきたのは如何に浅はかな情報だったか反省を禁じ得ない。
50分の授業でできることは限界があるが、少しアップデートできることはある。
まず、パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンディシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソを、キュビスムの視点だけで語ってはならない。
パブロ・ディエゴ・ホセ〜(以下省略)ピカソにもいろんな時代がある。
主には人間関係の変化、また女性関係の変化により作風が変わっていく。
青の時代、バラ色の時代、キュビスム、新古典主義、また陶芸家としての活動もある。
とにかく作品の数が数万点ととてつもなく多い。
そして女性関係の複雑さは、1940年代に共に過ごしたフランソワーズ・ジローの著書「ピカソとの日々」などに詳しいが、ピカソと関係があった女性たちは、このフランソワーズ・ジローを除いて全員が病死、または自死している。
フランソワーズ・ジローは唯一生き残った女性だった。
彼女を描いた映画が、「Surviving Picasso(ピカソを生き抜いて)」というタイトルにもよく現れている。
そしてそのジローも先月、6月6日に101歳の生涯を閉じている。
ピカソとは40歳の歳の差があった。