この夏はイタリアの作曲家、ルチアーノ・ベリオ氏が常に傍らにいた気がする。


40を超えて、正直もう現代音楽に一生懸命になることはないかと漠然と思っていた。


それは、演奏会で取り上げても聴衆には受け入れられにくいからという、自分本位の言い訳が頭の中にあった気がする。


受け入れられるくらいまで向き合い、高めることにトライしたことがない人間にはそんなこと言う資格はない。



朧げながら輪郭が見えてきた時、ベリオのことがもっと知りたくなった。


そんな時、東京芸大大学院で博士号を取得した佐藤淳一さんの論文が、ベリオについてだったような気がして氏のホームページを覗くと、その論文のことが掲載されていて、全文を読みたい人は連絡をとあった。


すぐに連絡した。


佐藤さんは現在北海道教育大学で専任教員としてお勤めしながら、サクソフォン奏者としてもお忙しく活躍されているが、僕の急で不躾なお願いを快諾してくださり、すぐに貴重な論文をお送りくださった。


学生の時のように毎日をがむしゃらに練習だけに費やすことはできないが、自分のペースで、真摯に向き合っていき、いつかちゃんとお披露目したい。