今年度1回目の門下生コンサート。


全員がそれぞれに今の力を出し切れたと感じた。


明和高校音楽科の生徒たちは前期専攻試験まで約1ヶ月、ここからさらに磨きをかけていく。


今回からの新たな試みとして、門下コンサートが終わった後、ミニリサイタルシリーズと冠して、誰か1人が少し長いプログラムを組んで、小さなリサイタルをやってもらうことにした。


記念すべきvol.1のソリストは、明和高校音楽科の卒業生で、音大には進まず、一般の大学に進学して勉強しながら音楽にも真剣に向き合う道を選んだ生徒。


選んだ曲はバッハの無伴奏チェロ組曲、ピエルネのカンツォネッタ、ラフマニノフのヴォカリーズ。


サクソフォン特有の戦闘モードでは吹くことはできない、至極の名曲たちだ。


吉と出るか凶と出るか本番までわからなかったが、今までの彼女の殻を破った素晴らしいパフォーマンスで、音大に進んだ高校の同級生がそれを聴いて涙を流していたのを見て胸が熱くなった。


歴史を生き抜いた名曲たちは、時に現在に生きる我々を音楽的に目覚めさせてくれる力を持つ。


まるで作曲者にレッスンされているかのように、引き出されていくことがあるのだ。


彼女には、「おめでとう」と声をかけた。