ずっと持っていて、色んな時期に色んな箇所を断片的にしか読んでなかった本を改めて精読している。


驚くのは、アドルフ・サックスが立ち向かってきた幼少からの苦難の連鎖である。


サクソフォンという新しい楽器に対して、当時のヨーロッパ人がそれぞれの立場で過敏に反応している様が生々しく描かれている。


数度の破産宣告は、サックスの経営の才の不足だと何かで読んだことがあったが、決してそれだけではない、政治的、人間的なドラマが露わになっている。


最も後に生まれ、最も早く世界に広がった楽器。


この本の冒頭で、サクソフォンは人々を洗脳する悪魔に擬える。


僕もきっとその一人なのだろう。