18年前、2003年1月。


僕は同じ場所に立っていた。


名古屋フィルの前。


あの時は何が何だか分からず、全て我武者羅に吹きまくっていたのかもしれない。


曲の複雑さもあり、指揮の沼尻氏と、当時の名古屋フィルは大変だったのではないかと推察される。



いよいよリハーサルが始まった。


オーケストラと共演するということは、ピアニストと共演するのとは違い、指揮者と数十人の演奏家との共演になる。


自分一人で準備してきたことをすべて急に生かすことはできない。


ある程度その場の空気や流れに適応できる幅のある準備が必要になると思っている。(もしかしたら百戦錬磨の一流ソリストはその空気を一瞬にして作ることができるのかもしれない)


後ろから背中を強く押してくれる音は、どこまでも暖かい。


曲が進むと、終わってしまうという焦燥感に駆られる。


全ての瞬間を大切にしたい。