毎週オーケストラスタディをレッスンで持ってくる生徒がいる。
先週までは「アルルの女」だったが、今回はハチャトリアンのバレエ音楽「ガイーヌ」の中の、「剣の舞」。
ほんの少しの出番だが、非常に印象に残るメロディをそれこそ印象的に吹かなくてはいけない。
何年も前、オーケストラから「出番はガイーヌです」という電話をいただいたので、そうか、剣の舞ねと思い、オーケストラから送られてきた封筒を当日まで開けなかったことがある。
リハーサル当日、一応練習場所と時間、衣装を確認しようと封筒を開けると、剣の舞の他にもう一枚楽譜が入っていた。
「アイシャの目覚めと踊り」
と書いてあるその楽譜は、見たことも聴いたこともなかった。
焦ってガイーヌのポケットスコアを広げると件の曲には確かにサクソフォンのパートがある。
YouTubeにも抜粋された吹奏楽版しか見当たらない。
冷や汗が背中に流れたが時すでに遅し。
僕はノー勉でリハーサルに行くことになった。
どんなに知っているつもりのことでも、世の中常に油断禁物なのだ。