アレクサンドル・グラズノフのサクソフォン協奏曲は、大作曲家が遺した数少ないサクソフォンのための名作でありながら、謎も多い。
フランスの出版社、A.Leduc社から1936年(グラズノフ晩年)に出版された楽譜には、グラズノフの名前と並んでPetiotなる人物が存在していること。
グラズノフからの本作品直接の献呈者であるサクソフォン奏者、シーグルト・ラッシャーのエッセイによると、出版に至ってフランス人奏者が介入したことで、自筆譜は歪められている可能性があること。
などなどワクワクする謎に満ちた名作だが、今でも多くの音大の入試課題に取り入れられ、サクソフォンに携わる学生、教員すべてが一生をかけて向き合っていく作品なのだ。
数年前にラッシャーの娘、カリーナ・ラッシャーによる原典版らしきものがベーレンライター社から出版され界隈では大きな話題になり、前述の謎も解決を見たものもあるが、ますます魅力を深めている作品。
今更ながら、こんな名曲があるかという想いに浸りながらレッスンをしている。