セバスチャンと私はあまり話しません。

ブログでは、会話のことをよく書いていますが、
一日の中で話す時間は以外と少ないのです。

けれど、
私はこのわずかなやりとりが楽しくてたまりません。
彼から発信してくる質問や会話は、あえて深読みせず、
一緒に楽しむようにしています。
そうすることで、彼の等身大の心が見えてくるからです。

セ「♪♪フフフーン、フンフン♪♪」

  ・・・。じーっと見ている。

セ「オレ、かなり機嫌いい?
  サザエさん症候群が出てないでしょ?
  日曜日の夜だというのに?」

  静かに笑う

セ「それはさぁ、あのさぁ、やっぱりぃ、
  女性声優のお陰なんだよー。」

  サイン会とか?

セ「そうそう。色々考えるとさぁ、楽しいんだよねー。」

  例えば何を考えるの?

セ「サイン会に行く時の服装とか、年齢とかねー。」

  服装?年齢?

セ「そう。服装はぁ、やはりネクタイに背広でぇ、
  年齢は21歳、名前は『真戸加大吾(まどかだいご)』
  って言うんだ。仕事は生産でぇ、主に便利で使いやすい
  物を作っているんだ。」

  笑!! 
  ある意味リアルで職業は抽象的!!

その後もコントのような掛け合い漫才のような
やりとりは続きました。

こんな会話の中にちょっと真面目な話も盛り込んで、
学校のことなんかも聞いています。
無理矢理聞き出すよりもその方がずっと自然に
答えてくれるからです。

(いい話ばかりではありませんが、それも含めて
 今のセバスチャンの日常です。
 手出し、口出しが増えないように物事の重要性や
 本質を見極めて、あっさりと聞きながら必要な
 対応方法を本人にアドバイスしています。
 中学校は小学校とは違いますから、本当に色々
 あります。でも、それはセバスチャンに限った
 ことではありません。2年半という月日の中で
 様々なことを経験した彼は、驚くほどたくましく
 なりました。) 


散髪に行って、買い物に行って(荷物持ちとして)
掃除をして、洗い物をして、ほどよくお手伝いをした後
今は自分の部屋で趣味に没頭しています。

部屋から鼻歌が聞こえてきます。
とっても楽しそうな独り言も。


サイン会、本気で背広を着て行く気なんやろなぁ・・・。








今日は中学最後の文化祭です。

ああ、こうやって「最後の・・」が
行事の度につくんだなぁ。(T_T)


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がんばれ次長、いや、
課長、いや、
ブチョー!!!





がんばってる映像はコチラ 
さて、何の曲でしょう?
       ↓



無事に終わって汗を拭く間もなく次の出し物である合唱へ
す、すごい人だ~

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唄ってる映像はコチラ
一番大きな声がセバスチャンです
(再生する前にボリュームを下げることをオススメします。)
        ↓






中学に入学したセバスチャンに何か部活をと思い、
音楽好きであるという理由で二つの選択肢から
選ぶように勧めました。

「吹奏楽部」
 部員はたくさんいます。
 練習は毎日です。
 先生は一人です。

「琴部」
 ○○学級(セバスチャンが在籍する特殊学級)で
 練習します。
 部員は3人です。
 練習は1週間に2回です。
 先生は○○先生です。(もう一人いる特殊学級の担任)

セバスチャンは

セ「うーん。じゃぁ琴部にするよ。」

そう言って、琴部に○(マル)を書きました。


部活に入るという点に於いては、「まずは」選択肢が
ありません。
そう。
「入部する」は、私が決めたルールです。
我が家は考え方が体育会系なのです。
それが良いか悪いかは別として・・。
そういう家に、彼は家族として居るわけです。
なので、彼もそこはよーく理解していました。

「まず」入ってみる。

彼の「足る」を私なりに「知って」いたつもりだったので、
そのようにしました。
(「足るを知る」、これは浅田次郎さんの本の受け売りです。
 簡単に書けば「今の能力、今の自分が持っている力」を
 知るということです。そして、できることをひとつひとつ
 実現させていく。
 すると「満足感」が得られるというものです。)


本当に色々ありました。
彼が入部後、部員はみんな辞めてしまいました。
(おそらくセバスチャンの言動、行動に嫌気が
 さした子もいたと思います。それぐらい、当時の
 彼は周囲が見えない、何もわからない子どもでした。)

1年生の弁論大会用の作文では
「部員が増えてほしい。」
ということをテーマに書いたほど、彼は部員がいない
ことを気にしていました。
しかし、そこもあっさりと見守りました。

2年生になって、ようやく部員が6名入部しましたが、
今度はいじめが待っていました。
しかし、これは彼の中ではレベルが低いものだったらしく、
「行ったろか?」
というドスの効いた私の声に
「いや、それはいいよ。相手は女の子だから。」
という断りが入り、結局は沈静化しました。

3年生になりました。
先生も無茶するなぁ。
いわゆる「知的障がいを伴う自閉症児」を部長に
したのですから。
何かあれば、本人と部員と先生が話し合うだろうと、
しばし見守りました。
1学期は部長と部員の間に大きな溝ができ、悩みに悩んで
さらに他のこと(進路)も加わりかなり苦悩していました。
山に行って、ボートを漕いで、のんびり過ごして、
そして夏休みをきっかけに彼は見事に吹っ切りました。

そして今日です。
「演奏用の爪を忘れた」
「演奏中に琴が勢いで傾いた」
裏ではアクシデント満載だったようです。

爪は借りて、
傾いたまま演奏して、
何とか乗り切っていました。
口々に先生が

「ようパニクらんかったなぁ。
 たいしたもんや。」

と褒めてくださっていましたが、(パニックになった
セバスチャンを知っているからこそ出るお言葉!!)
壇上で汗だくになっている姿を見て母は、

「滝のような汗を掻いてる。我慢してるけど
 相当パニクってるな・・。」

そう思いながら見守っていました。
観客席から見ているクラスメートが
「セバスチャン、すごいがんばってるな!」
と言う声も聞こえてきました。
ほんま、ようがんばってたよ。
すごいよ。


演奏を終えた次のプログラムは合唱でした。
これは選択性になっていて、自分で選びました。
家でも、一人黙々と部屋で練習していたの
ですが、家族はみんな
「変な歌やなぁ・・。」
と、思っていました。
でも、今日聴いてびっくり!!
そうか~。下のパートを唄ってたんやぁ。
みんなで唄うと、素敵なハーモニーになって
いました。


セバスチャンは声がとても大きいです。
正確に言うと、「大き過ぎる」のです。
調節がうまくできません。
(静かにしなければならない場面では話さない、
 人が話している時は大きな声は出さないなど
 日常生活で大きな支障はありませんが、
 「声を出す」場面ではまだ調節が難しいのです。)

でも、学校では「調節ができない」ではなく、
「大きな声が出る」という肯定した見方で、
彼に合った参加方法をいつも考えてくださいました。
号令係、組み体操の第一声担当、そして合唱では

「みんながセバスチャンに負けないような声を出せばいい。」

と言って、セバスチャンではなく他の子ども達に指導
されたと、祖母から聞きました。

本当にありがとうございます。
感謝の気持ちでいっぱいです。



セバスチャンは、やっぱり今回もこう言いました。


今日のオレ、どうだった?


OK!!ごっつぅよかったよ!!

晩御飯を食べていると、突然セバスチャンから
質問攻めにあいました。


セ「お母さん、おれが小さい時、おれは眠れなかった?」

 うん。薬も飲んでたなぁ。

セ「おまけにこだわりも強くて?」

 うん。色んな儀式がいっぱいやったなぁ。

セ「低学年は特に大変?」

 そうそう。かなーり大変やったでー。

セ「先生達も困ってた?」

 うーん、それはどうかなぁ。お母さんは先生とちがうから
 正確な答えは言われへんなぁ。

セ「おれはかなり迷惑をかけたと思う。家ではどんな風に
  パニックを起こしてた?」

  当時のセバスチャンになりきってやってみせる。

セ「結構ひどいな。ドロボーって叫ぶことが多かったのはぁ、
  きっと治安が悪かったからだよ。
  お母さんも大変だったねー。」

  笑!!


  ところでさ、なんで急にそんなことを聞いてきたん?

セ「うーーんと、それはぁ、つまりぃ、(声が急に小さくなる)
  サイン会とか行った時にさぁ、オレの障がいのことを
  知らない人に出会ったらぁ、あれがあった方がいいと思って。」

  ん?あれって何?

セ「ほら、あれだよ、あれ、おれがこーんな顔をした写真が
  貼ってあって、その本の中にオレのことがたくさん
  書いてた、あの本だよ。ことわざ好きとか、レゴ好きとか
  パニックのこととか書いていた・・。」

 おーー、サポートブックかいな!!

セ「そう!!サポートブック!!
  サポートブックを持って行こうと思う。」

 そう言うたら、中学校に入って作ってなかったもんなぁ。
 昔のサポートブックは年も身長も体重も足のサイズも
 趣味も、パニックぶりも全然違うから、新しく作った方が
 いいと思うよー。

セ「ちょっと古いのか。
  じゃぁ自分で練習してみる。」

 ???

そして・・・



部屋で一人で練習してる!!

セ「はい、はい、よろしくお願いします。
  実は、ぼくは少し障がいがあるんですよ。
  はい、はい・・・。」

  セバスチャーン

セ「なに?」

  あのな、実際にサイン会に行くときな、マジで練習しようよ。
  そういうのんな、お母さん得意やねん。
  いっつも障がいのある人とな、面接の練習とか、買い物の
  練習とかしてるからな、いつでも相談に乗るで。
  前にしたみたいに、自分で紙に書いて持っておくのも
いい方法やと思うけどなぁ。

セ「うん、わかったよ。」

  行くのはお母さんとはイヤなんやろ?

セ「うん。一緒に行ってもらうのは○さんがいい。」

  OK。よかよか、色気づくの、おおいに結構!!
  カカカカカ!!

セ「からかわないでよ!!まったくもう!!」



自分のことを
自分で考え始めました


「好き」パワーってすごいなぁ。



追記: 『僕の歩く道』をセバスチャンに勧めると、
    「その時間は、寝る準備もあるからいいよ。  
     だいいち、ドラマはあまり好きじゃないんだ。」
     あっさりと断られました。
     ふむ・・。