光についてもう少し詳しく見てみましょう。光は波長の長さで色が違うということでした。前回は赤から紫までの波長しか考えませんでしたが、もっと広い領域を考えましょう。


赤より長い波長のものを赤外線、紫より短いのを紫外線といいます。紫外線より短くなるとX線、さらに短いのをγ(ガンマ)線といいます。これらは全部まとめて電磁波と呼ばれます。


電磁波


電磁波は日常のいたるところで用いられています。携帯電話や電子レンジ、ラジオ、レントゲン、カーナビ、IH、無線LAN…。


たとえば電子レンジでは電波を食品内の水分が吸収することによって暖められます。水分子が元気をもらって激しく踊る感じです。レンジの中に金属を入れてはいけないのは、金属は電波を反射するからです。



電磁波は19世紀の物理学者マクスウェルによって予言され、ヘルツによって発見されました。マクスウェルは、マクスウェル方程式という電磁場を記述するたった4つの式から電磁波の存在を導きました。


少しマクスウェル方程式について説明します。ここで紹介するのは真空中の場合で、物質中ではもう少し複雑になります。しかし式の数は変わりません。


真空中のマクスウェル方程式


(2)式の意味は、モノポールが存在しないことを意味します。


例えば棒磁石は、一方の端はS極で、もう一方はN極になっていますよね。この棒磁石を真中で半分に切って2本にしても、ちゃんとどちらも両端にS極とN極があります。さらに半分にしてみても、やっぱりどちらにもSとNがあります。


この半分にするのを何度も繰り返すと、どこまでも小さい磁石になっていきますが、SだけあるいはNだけの磁石を作ることは出来ません。SとNは切り離せないのです。Sだけ、またはNだけでできた磁石をモノポールといいます。


(3)式は、ファラデーの法則といって、いわゆる電磁誘導を表しています。磁石で電気を起こすというやつです。この法則は発電機に使われています。


残り2つについても説明したいのですが、長くなりそうなので今回は式の紹介だけにしておきます。もう一度言いますが、4つの方程式で古典的な電気と磁気に関する現象が説明できるのです。


見ての通り非常に簡潔で(数えるくらいしか記号がない)、アインシュタインは美しいと感動したそうな。きっと式を見たとき物理現象がありありと思い浮かんだのでしょうね。残念なことに、僕はまだまだその域に達していません。


これら4つの方程式をいじってやると、波動方程式が導かれ、その解が電磁波になります。


そしてもう一つ重要なこととして、光速が一定ということが予測されます。


普通、物の速さというものは見る人によって違います。車に乗っている人が前方車両を見たときと、その車を対向車として見る人ではスピードは違って見えますよね。ところが光は誰がどのようにみても速さが同じだというのです。こんなことは普通納得できるものではありません。1887年にマイケルソンとモーリーによって実験的に示されたのですが、とても受け入れられるものではありませんでした。


アインシュタインはこの「常識」を超えることによって、特殊相対性理論を創り上げたのです。

>空の色


光が7色に分解できると書きましたが、色を決めているのは人間の目です。どうして、波長の違いで色が違って見えるのでしょうね?


昔の人たちは空が青いことの仕組みをどのように考えていたのでしょうかね?特に、古代ギリシアの哲学者、カトリック教会の考えが気になります。


青い光がよく散乱されることについて伊丹十三は著書「問いつめられたパパとママの本」のなかで巧みに表現しています。『青い光は道草をしている』のだと。こんな表現ができるようになりたい。

振り返ると、僕が物理学に興味を持ったのはささいな疑問からでした。昼間は青い空が、明方や夕方にはなぜ赤くなるのだろう?近くの公園で遊んでいたとき、そんな疑問が浮かびました。


当時は小学生だったので、科学的な考えなど浮かぶわけがなく、ひょっとしたら宇宙人が地球を支配していて、宇宙人が空の色を変えているのではないか、なんて思ったりしました。宇宙人と発想するあたり、漫画やアニメ、ゲームの影響があったのでしょう。


地球が宇宙人に支配されているかはともかく、自然法則には支配されています。空の色の秘密も、そこに潜んでいる自然法則を明らかにすることによって、理解することができます。


色が見えるということは、光がなくてはなりません。真っ暗闇では何も見えませんよね。さて、光は波の性質をもっています。波ですから、あるところで一番高くなって、そのあと一番低いところまで動き、そしてまた一番高いところまで…ということを繰り返しています。一番高いところから次の一番高くなるところまでの距離を波長といいます。この波長というのが波を考える上で大事な要素になっています。




ところで僕らが普段、透明と感じている光は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と7色に分解することができます。虹を思い浮かべると納得できると思います。この色の違いは波長の違いで分類されます。もっとも波長が長いのが赤で、橙、黄…と順々に短くなっていき、紫で一番短くなります。


光がその波長よりも短いサイズの粒子にぶつかると散乱されます。これをレイリー散乱といいます。光の波長はだいたい400~800nm(ナノメートル:1nmは1mmの1/1000の1/1000)です。太陽からやってきた光は地球の大気を通るわけですが、大気を形成している気体分子の大きさは1nm以下なので、これらによって散乱されるわけです。


そして散乱のしやすさは波長によって変わってきて、短いほうが散乱されやすくなります。つまり赤、橙よりも、青、藍、紫のほうが散乱されやすいのです。


赤色はあまり散乱されずに地上まで届くのですが、青色は大気で散乱されまくった後で地上に届きます。つまり上空には青色の光が多く残っているのです。それで空は青く見えるのです。


あれ?青よりも紫のほうが散乱されやすいのだから、紫色の空になるのでは?という疑問が出ると思います。たしかに紫色のほうが散乱されやすいのですが、散乱されすぎて私たちの目まで届く光が少ないのです。


散乱されすぎて、短い波長の光が届かないといことが朝や夕方にも起こります。このとき光は地表すれすれを飛んできます。つまり分厚い大気の壁を通過してくるのです。そのため波長の長い赤色の光が多く残って、空が赤く見えます