ある投稿記事を読んで | 世界一小さい新聞

ある投稿記事を読んで

■読売新聞ウエッブ版に通称yomiDr.(ヨミドクター)と呼ばれる医療ページに「わたしの医見」という読者からの投稿コラムがある。千葉県佐倉市に住む74歳の主婦が「医見」で書いていた「薬の自費購入、なぜ」(9月25日付)に世界一はちょっと興味を覚えた。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=47613


千葉県佐倉市 主婦 74
 入院中の夫はほぼ寝たきりで、腰のあたりの皮膚がただれてしまった。看護師から、病院内の売店で塗り薬とパウダーを買うようにと指示を受けた。
 売店には、指定された薬が、目につきやすい場所に大量に並んでいた。どの患者も購入を指示されているのだろう。高価だったけれど、夫の皮膚の状態を良くしたい一心で迷わずに購入した。
 ただ、時間がたつにつれ、どうして保険薬を処方せず、患者に自費で薬を購入させるのか、疑問がわいてきた。どこの病院でもある仕組みなのだろうか。


■この記事には、問題点が六つあると思う。
(1)まず、床ずれは怖いという認識を欠いている。そんな簡単に付き添い家族の素人に「院内売店」で高価な薬を買わせて手当てさせるようなものではなく、りっぱな疾病だ。きちんと医師が診察し、手当ての方法を説明してほしい。


↓ひどい床ずれ


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(2)病院側にビジネス優先が見え隠れする点。病院が売店と「グル」になっているのか、病院幹部の親戚が売店経営して「応援」しているのか、など憶測はいろいろだけど、売店を優先し患者の利益を後回しにしている点で、問題がある。入院患者の床ずれを考えれば必需品な塗り薬であることは病院側も理解しているわけで、なおさら「病院側で準備する」のが自然な考え方だ。


(3)三つ目は、なぜ直接看護師に尋ねないのか、だ。「疑問がわいてきた」と感じたら、後日でもいいから看護師に「保険で処方してほしい。私たちには余裕がないので、売店の高価な薬ではなく、安い薬に代えたい」など、看護師の「売店指示」に自分の意見なり、要望を伝えられないのは、その病院や医療関係者に「言わせない雰囲気」を感じたからなのか。


(4)四つ目の問題は、患者側にあると思う。老いた夫婦の心構えとして一方が寝たきり状態なら当然、床ずれは予想できる、前もってその予防や床ずれ勉強をしてほしい。今は新聞、本などの医学記事で日進月歩有意義な情報を得られるから、それをしないのは、患者側の準備不足ともいえる。


(5)五つ目は、看護師や病院側に要望や不満なりをぶつけて、問題解決をする姿勢がなく、後で不満や疑問を新聞投稿したところで、投稿者は直接に解決を得られない。むしろ、こういう弱気な人は、病院側とフランクにコミュニケーションが苦手なため、これからまた別に問題が起きても解決できないという点で、未解決のままストレスをためてしまう。


(6)六つ目は、読売新聞の問題。いつもこの欄を読んで思うのだけど、ただ読者に投稿させるだけでは意味がなく、何の問題解決にもならない。読者の身になって一度ぐらい現場に実際取材に出かけて短い投稿ではわからない病院側の説明をとってほしい。患者側の推測や憶測や誤解が原因で病院側からの正しい情報が伝わっていなかったり、読者に誤解を与えていることさえあるように思う。



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