俎上の釣り人 | ダッチワイフは電動コケシの夢を見るか?

ダッチワイフは電動コケシの夢を見るか?

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出囃子 - (立川談志・木賊刈り)



 【 演目 】  俎上の釣り人
      ( 二代目  酩亭らりるれろ )



             ∧..∧  毎度どーも
           . (´・ω・`)
           cく_>ycく__)
           (___,,_,,___,,_)  ∬
          彡※※※※ミ 旦
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   \ よっ !!    /   \ 待ってました!!/
     \     /      \    ∞ /
 l|||||||||||||| ∩,,∩ ∩,,∩  ∩,,∩ ミ∩ハ∩彡
 (,    )(,,    )    ,,)(    )(    )



いやぁーしかし暑いですな。
まぁ暑い暑いといっても、これがまた夏なもんで致し方ありませんが、近頃は節電だーエコだーと煩いもんで、気安くクーラーの設定温度も上げられませんな。
こうも節電節電、エコエコとなってくると、その内 『エコエコ詐欺』 なんか起こす輩も出てきちゃったりしてねぇ。
「ばーちゃん!エコだよエコ!いまエコなエココン イヤイヤ・・・・エアコンが安いから、買うカネがすぐ必要なんだよ。ばーちゃんにしか頼めないからさ、今から言う銀行口座にすぐカネを振り込んでくれよ!な?」なーんてな電話がお客さん達に掛かってくるかもしれませんよ?
ですからね、家に居るとそりゃぁ物騒なんで、お客様方にはこうやって寄席にでも来て頂いて、涼みながら噺を楽しんでいただきたいと。
いやいやいやいや、ソコで笑って居るお客さん!お客さんが一番引っ掛かりそうな顔をしてますよ?気をつけてくださいよお客さん。

とまぁエコと節電に煩い最近の日本ですが、夏の暑気を払うのには昔から色々とございまして、寝苦しい夜には夜釣りなんかもいいもんですな。



      \   ∩─ー、    ====
        \/ ● 、_ `ヽ   ======
        / \( ●  ● |つ  ちょっと待つクマ――!!
        |   X_入__ノ   ミ   
         、 (_/   ノ /⌒l その釣りじゃないクマ――!!
         /\___ノ゙_/  /  =====
         〈         __ノ  ====
          \ \_    \
           \___)     \   ======   (´⌒
              \   ___ \__  (´⌒;;(´⌒;;
                \___)___)(´;;⌒  (´⌒;;  ズザザザ
                             (´⌒; (´⌒;;;



新宿の、とある横丁に南蛮風な尻掛け酒屋がありまして。ここを営む店主マスターと奉公人のBabyが、客の居ない店内を見回しながら気の無い様子で煙草をふかしています。
「ヒマだねー」
「だねぇ・・・・。なぁベビの字、とっとと店閉めて遊びに行くかい?」
「そいつはいいけど、先ずは腹が減ったな。一旦家に帰ってから決めねぇかい?」
「そうだなぁ・・・そうするか」

と、客が来ないので早仕舞いと決めまして、二人は店の片付けをそそくさと始めます。

で、片付けが済んだ二人は、まだ暑さの残る夏の夜を、店主の自宅に向かってテクテクと歩いていきます。
「しかしまぁ夜中だってーのに暑いねコリャ。めし食ったら何しようかね?」
「んー・・・・そうだねぇ・・・・よしベビの字!今日は夜釣りと洒落込むってーのはどうだい?」
「そいつはいいがマスター、この近所の何処で釣るんだよ? 」
「それは任せておきな!いいー所があるんだよ」

てな感じで、今宵は夜釣りと決めた二人は家に着くとそそくさと飯をかっ喰らって、釣り道具を担いで再び町に飛び出します。

「で、そのいい所ってーのは一体何処なんだい?」
「稲荷さんの並びに、昔は下屋敷の庭園だった公園があったろ?あそこの池にゃあ鯉がワンサカ泳いでいるんだよ」
「おいおいマスター、あそこは夜だと門の錠が閉められちまうじゃねーかよ。大丈夫なのかい?」
「大丈夫、大丈夫。ガキの時分から忍び込んでるし、もう一つの釣り場の池よりは、犬が番してないだけ楽なもんだよ」
「もう一つってアンタ・・・釣り好きもここまでくると大概だねぇ」

てなやり取りをしている内に二人は件の公園に着きますが、そこは趣きのある回遊式庭園。
公園と称していても遊具類などは一切置かない閑静な日本庭園ですから、二人の様な不心得もの避けに、夜は出入り口の門を固く閉ざしております。

そんな門を二人は周りに気を配りながら、えっちらおっちらとよじ登って忍び込み、難なく庭内に入り込みます。そして月のあかりを頼りに飛び石を辿って行き、奥にある東屋まで行き着きますと早速この二人、竿を取り出して池に針を垂らします。
「いやぁ流石に水辺は涼しいねぇマスター」
「だあなぁ・・・おっとベビの字!ビ-ルがねぇよビールが!」
「ありゃりゃ、こりゃいけねぇ・・・・そうだマスター!釣果勝負で決めねーか?先に一匹釣り上げた方が勝ちって事でよ、負けた方がビールを買いに行くって事にしちゃどーだい?」
「お!?いいのかいベビの字?それだとお前さんが買いに行く事になっちまうが?」
「てやんでぃべらぼうめ!後で吠え面かくなよ?」


とまぁ最初は意気揚々と始めた二人でしたが、四半刻、半刻と過ぎても一向に魚が食いつきません。まぁ時刻も暁の九つを過ぎようかってな頃ですから、魚が寝てても不思議は無いでしょうな。

「魚は釣れねぇわ喉は渇くわ蚊にくわれるわ、何だか飽きてきちまったなぁ・・・」
「おめぇも腰の座らねぇ野郎だねぇまったく・・・・。仕方ねぇなぁベビの字、じゃあ一匹釣ったら帰るとするか?」
「ありがてぇマスター!オイラもう喉がカラカラなんだよ」

などと諦めの入っていたその時、店主の竿に何やら当りがありまして、引き上げて見ますとこれが立派な鯉。
しかし釣ったはいいが、これをどうしていいか分からない有様でして、
「放しちまうのも癪だし、持って帰るのも面倒だし、どうしたもんかねぇ」
「んー・・・・これ、食えるのかな?」
「そりゃまぁ鯉だから食えなかーないよ・・・・おいおいベビの字、まさかこれ食いたいのか?」
「いやぁーちょっとそう思っただけで・・・・まぁマスターが捌けないってーなら仕方ねーけどな」
「なにを!このマスター様を甘く見てもらっちゃ困るぜ!こんな鯉の一匹や二匹や三匹くらいなぁ・・・」
「いや一匹でいいんだが・・・・ほんとに捌けるのかい?」
「分かった分かった、そこまで言うならこの鯉、きっちり捌いてお前さんに喰わせて進ぜるぜ」

いやまぁ何をどうした訳かこの二人、密漁した鯉を食っちまおうってな話に進みまして、釣り道具の中にあったビニール袋に池の水と釣った鯉を入れて公園を立ち去ります。
「置いてけぇー・・・・置いてけぇー・・・・」
「よせやいマスター!まんま『置いてけ堀』じゃねーか!」
「時間も時間だし場所も場所だから、雰囲気ピッタリだったろ?」
「本当に意地の悪い野郎だね、お前さんは・・・」



 盗んだ鯉で走り出す~♪       ,へ、
                    //////`>ァ- 、
                ∧ ∧/// / / / / / //`>- 、
          ∧ ∧ (・ω・ ) // / / / / /////> 、  
          (゚Д ゚#) O と ヽ/∠=-ァ―‐ァ‐―-- 、////>、 
         O と ヽ/ /⌒__)Y`ト、 ) ト、) ) )YヽY`Zー<- ニ三`ヽ、
          (⌒__) ´jヽノヽ/Y`Y K ! ! Y Y`YVヽヽjYVヽメ7ァ-<三Z __,. -<ニ
         ,. ィ.:´ノ)ヽ,ヘ人ノヽjヽj\! Y V V Y`YVヽjYYVYトjヘjVノメト/Y/トjヘ/>、!=
        /::::::.. ::.. レ'\ト、ト、jヽノヽノY`VVヽト、人jVヽjYV YK)(メ>YYYjYYYレヘ!|=
      /:::: :.::. ::.:.: .: `ヽ/ヽ}Vヽjヽ/ヽ人!Vヽ人jY人/レYYY`KKイメXYレメイYYメヘイリ=
     /::: ,. -、::. . :.    ::::ヽ! ! ト、ノ、人ノ、ト人/Yヽ,イ/Y X)(j<トイYYZ⊥=‐ァくZVメミヽ
    ノ:::: :::{::rう:).:   ; .: i ; V〈ヽj ) ) ) l ,イ人ノ、jYY<Y Kト/)(メ∠ニ三7′  `丶ミミ
  ,ィ'rァ::: :: :`ー '.::   ! :. :. l |! レヘ/Y Y V レ' ト、ト、トj`Y ト、ト/Zkくニニ二三! 
  (ー、ト、 :. :. .     ト、 ノノリレ' レ'⌒ヽ、) j、人!Yメ,.ィ' ´  ヽー=ニ三| 
  \`r ヽ ., _  ___丿`フノノ,.∠=ニ二三`くZ∠=-<三ヽ    `ー=三ノ 
    L!:レ------=='´-ー―、ミミニ二三三ト、ミミ=二三┤
    jノ             ヽミミミニ二三! `ヽミミニ三j  いや、そこは泳げよ
                   \ミミーニ三|    `ー-一′
                     `丶ミ三丿



そして店主の自宅に戻りました二人は、釣った鯉を大き目のたらいに移しますが、これがまた場所を取る。困った挙句、近所に住む店主の両親の長屋に運びこみます。
「どっちにしろ鯉は泥を吐かせねーと食えねーから、暫くここの庭にでも置いときゃいい」
「一応、貼り紙でもしておくか・・・・。えーと・・・『近くの池で盗ってきた鯉なんで・・・」
「ばかやろう!本当の事を書いてどーする!そこはホレ、こう書くんだよ。『知人から鯉を貰ったので、料理するのに泥を吐かせるから暫く置かせて欲しい』っと、これでいい」
「で、食えるまでどの位かかるだい?」
「そうさなぁ、一日くらい置いときゃいけるだろ。さぁベビの字、とっとと帰って飲み直そう」

さて、鯉の料理法も幾つかございます。
鯉コクやうま煮に甘露煮、洗いや丸揚げなんて食し方もございますな。で、店主が選んだのが鯉の洗い。
まぁその辺の池で獲ってきた鯉ですから、流石にスットコドッコイの二人でも刺身で食うには気が引けるってな事で、間だを取って洗いにした訳なんですが、それでもまぁ結構な冒険心でありますな。

で、二人は翌日になってから鯉を取りに実家に向かったのですが、そこで店主のおっかさんとバッタリ。
「あらあら、その鯉もう食べるのかい。何ならうちの台所使ってもいいよ」
と申されまして、そりゃ楽だと実家の台所で調理し始めた店主、器用に鯉を捌いていきまして、まぁ見た目もそれなりの洗いが一丁あがりです。
「もらい物って言うけどアンタ、そんな釣堀だかで取ってきたようなの食べられるのかい?」
「まぁ丸一日泥も吐かせたし、洗いにしたから変な虫もデージョウブだろ。お袋も一口どうだい?」
「嫌なこった。まぁ死に水はとってあげるから、あんた達二人で召し上がれ」
「嫌なこと言うねぇこの人は・・・・まぁいいや。さぁベビの字、食ってみるか・・・・ってオイ!もう食ってやがるよコイツは」


パクパクと一人先に食べ始めた奉公人ですが、何故か口が止まりままして、
「・・・・・・どーろーくーさーいー」
「なに?どれどれ・・・・ぐぁ!こいつあダメだ!まだ泥臭さが抜けてねぇ」
「バカだねぇアンタ達は・・・・やっぱり一日程度じゃダメでしょ。せめて二、三日は置いておかないと・・・まったく勿体無いことしたもんだね」
「うーん悔しいなぁ・・・そうだマスター!今夜にでももう一匹パクって・・・・」

と、つられてそう言った奉公人が慌てて口を抑えますが時すでに遅し。奉公人の言葉を耳にした店主のおっかさんが問いただします。
「ちょっとベビさん、いま何て言った?パクる?・・・・あんた達まさか、この鯉どっかから勝手に獲ってきたのかい!」
「おーいベビの字、鯉に泥吐かせないで自分が泥吐いてどーする」


お後がよろしいようで。



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       , @                 / .※ > ))
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    ノヘY!ヽ      / iつ><)   *   ミ
    〃 ` ,.・    彡〈 丿y⊂}__)  @、    o
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            彡※※※※ミ !匹 ミ
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     \ふざけんな !!/     \ 何それ! / ボケー
       \     /バカヤロー \  #ひっこめー#
   l|||||||||||| ∩,,∩ ∩,,∩   ∩,,∩ ミ∩ハ∩彡
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これ書いている内に東京は涼しくなっちゃいましたな。