季節物の想い出で、ある夏の夜にやっちゃった『鯉』の話でも書こうと思ってたんですが、とあるブロガーさんの『八宝菜』の話で思い出した事があったので、忘れない内にこの話を先に記しておく事にします。
時はレゲエの飲み屋に勤めていた頃、場所はもちろん店の中。何時もの様に開店準備をしていた処に、マスターの地元の同級生が訪れます。
この人、通称『やっちゃ場』と呼ばれる当時秋葉原に在った青果市場(現在は大田区に移転)の仲卸で働いていまして、そのお陰でよく新鮮な野菜や珍しい食材などを持ってきてくれます。ですが、一見親切な善き友に思えるこの人も所詮はマスターの友達なので、立派な不良属ロクデナシ亜種に分類されます。
この日も何だかやたらと沢山の野菜を担いで来店しました。
考えうるその理由1、売れ残った。その2、自分で食いたくなったので横流し。その3、グルグルしてて自分で何をしているか判ってない等々。まぁどの理由でもコッチとしては有り難い事ですが。
やっちゃ場
「なーマスター。ソレで中華丼作ってよ」
マスター
「チョッとマテ! まだ開店前だし、それに店には米おいてねーんだよw」
やっちゃ場
「えぇー! かみさんに持ってこさせてよ・・・・」
マスター
「相変わらずワガママだなオマエ。中華麺はあるから餡かけ焼きそばにしろよ」
やっちゃ場
「んー・・・・んー・・・・じゃあ八宝菜!」
マスター
「ハイハイ」
まぁいつものやり取りで八宝菜に決定。でも八宝菜に無いと悲しいのがウズラの卵ですが、こんなのうちの店じゃ常備してません。
無い事をやっちゃ場さんに告げると、案の定「買ってきてくれBabyちゃん!GO!GO!」です。まぁ頂いた野菜に免じて買ってきましたけど。
うちの店は当時『レゲエの○○○屋』(店名ではないです)と呼ばれてて、メイン料理がその○の部分に当たります。ただ、旬の食材やらリクエスト等を考慮して『本日のお薦め料理』も必ず出してました。で、そのお薦め品のお品書きをメニューの最初のページに貼っておくんですが、書いて貼るのは私が担当になっていまして、その日も品書きを新しく書き直すところでした。
マスター
「ねーBabyちゃん。丁度いいから今日のお薦めに『八宝菜』追加しておいてよ」
やっちゃ場
「お! 今日のお薦め入りか! なら括弧してウチの会社名も入れておいてくれw」
マスター
「ヤメレw Babyちゃんの品書きは唯でさえ変なんだから余計な事を書かすな」
いやぁ私ね、当時はチョッと時代の先端を求め過ぎてまして、普通に書けばいいところを態々筆ペンを使って『相田みつを』風に書いてました。今だとそんな店が結構あるでしょ? 創作料理店とか気取った蕎麦屋とかw
マスターや一部の定連さんからは「なんで字が震えてんだよw チワワかオマエはw」などとも言われましたが、バカな私は「味があるでしょ味がw」とワケわかめな受け答えをしてました。
そんな訳で八宝菜も含めた数種の料理名を紙に書き、メニューに貼り付けて準備完了です。
そして開店後、一番最初に来店したのが例のホラ吹き男爵。
ホラ吹き男爵
「コンバンワー。あれ? やっちゃ場くん久しぶりじゃん」
やっちゃ場
「おっ! 男爵さん今日は早いっすね?」
ホラ吹き男爵
「今日の取材先が近かったから直行で来たw Babyちゃん! 俺、二階堂のロックね。それと・・・・今日なんかお薦めある?」
Baby
「ありますよー。メニューどうぞ」
ホラ吹き男爵
「んーと、何にしよ・・・・・・ねえBabyちゃん、チョッと聞きたいんだけどさ・・・・・」
Baby
「はい、なんざんしょ?」
ホラ吹き男爵
「はっぽうまつり、って何?」
八宝祭 阿波踊りバージョン
ホラ吹き男爵
「この"八宝祭"ってーのは、何かい? 皿の上でピンクの小人が阿波踊りでもしてるの? それとも神輿担いじゃってるワケ?w」
マスター&やっちゃ場
「ナニコレwwwお祭りwwwうひゃひゃひゃひゃひゃwwwww」
確かに物知らずで間抜けな私ですが、ここまで無意識に恥を晒した事はございません。もしかしたら脳に何らかのダメージでもあるのかと思いますが、多分『はっぽうさい』から『ぶんかさい』とでもイメージ変換されたんでしょうか? 誰か教えてください。
取り合えずその品書きはメニューから剥がして貼り換えましたが時既に遅し。剥がしたその品書きは例の罰ゲーム写真の真上に貼られてしまいました・・・・何かの表彰状のようだったなぁ。
Dennis Brown - (Should I)
それから一ヶ月ほど経ったある日、開店準備を終えた私は、又お品書きの紙にのたくった字で本日のお薦め品を書きます。それを終えて店を開けると、暫くして一見さんのアベックが来店しました。
「テーブル席で」との要望があり、二人を窓際の席にお連れします。
Baby
「いらっしゃいませ、こちらメニューです。宜しければ、お飲み物の方だけでも先にお持ちしましょうか?」
男客
「あー、じゃぁ俺ハイネケンお願いします」
女客
「私は・・・・梅酒サワーにする」
Baby
「はい、かしこまりました」
で、飲み物を用意していますとメニューを眺めていた二人が何故かクスクス笑ってます。何故なんでしょう? 非常に嫌な予感がします。
取り合えず二人に飲み物を出して、「では、ご注文がお決まりになったらお呼び下さい」と言ってカウンター内に戻り、暫くすると・・・・・
男客
「すいませーん!」
Baby
「はい、お決まりでしょうか?」
男客
「この『ちんげな』ってなんなんすかね?」
マスター
「まwwwたwwwかwwww」
えーと・・・・何故か一文字抜けてました。不思議な事もあるもんです。
正確には『ちんげん菜と豚肉の餡かけ豆腐』なんですよ、お客様・・・orz
笑いを堪えてるお客さんには、決して変な"毛"などは食材に使っていない事を丁重に説明し、その『ん』の字が抜けたメニューを他のものに交換しました。
兎に角すぐに証拠隠滅しないとヤツラが来る・・・・・
Bany
「あれれ? ねぇマスター、ここにあったメニューは?」
マスター
「俺様が預かったw」
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|←樹海|
 ̄|| ̄ ̄ 人生オワター┗(^o^ )┓三
|| ┏┗ 三
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しかし今更ですが、インターネットって便利ですね。チョッと気になって『八宝祭』や『ちんげ菜』を検索してみたら同じような仲間が結構いました。
ただ『ちんげ菜』を画像検索した時に、私よりも悲惨な晒し者になってた人がいたので、何だか涙を誘われましたよ。