イベルメクチンの副作用には神経毒性があり、マウス、ラット、ウサギでは催奇形性が報告されています。本来は駆虫薬なのですが、2021年2月15日までに、世界53か国で新型コロナに使用する治験が実施され、2021年にはイギリスの500人単位の比較検討試験において、重症例に使用した場合、死亡率が80%減少したと言う画期的な効果報告があります。使用量は疥癬には200μg/kg 一回投与ですが、イギリスでは200~1200μg/kg使用されました。

 

 2018年、最も信頼される医学雑誌「The Lancet」に、“Safety of oral ivermectin during pregnancy:a systematic review and meta-analysis“(妊娠中の経口イベルメクチンの安全性:系統的再検討と複数文献分析)が投稿されました。

 

要約

 

 1990~2008年の間の利用可能な論文を検討した。

 イベルメクチンは世界で37億人以上に投与されており、アフリカでは回旋糸状虫による失明を予防するため大量に使用されている。

 妊婦には原則投与禁忌だが、アフリカには妊娠に気付かず投与された妊婦がかなり存在する。

 6つのアフリカの国家において、893人の妊婦、双子を含む899回の妊娠を検討した。

 496人の妊婦、双子を含む500回の妊娠においてイベルメクチンが投与されていた。

 母体の罹患率、新生児死亡、早期産、低出生体重の報告は含まれていないので不明。

 自然流産と死産の危険率は、イベルメクチン非投与群と比較するとイベルメクチン投与群では1.15倍だった。

 観察研究での先天奇形の危険率は、イベルメクチン非投与群と比較するとイベルメクチン投与群では1.69倍だった。この研究ではバイアスが多く、客観的な評価は困難である。

 ランダム化比較試験(RCT:Randomized Controlled Trial)での先天奇形の危険率は、イベルメクチン非投与群と比較するとイベルメクチン投与群では1.10倍だった。

 以上により、イベルメクチンを妊婦に投与した場合の自然流産と死産、奇形のリスクが増すかどうかは不明であり、その可能性は非常に低い。

 

序文、本文

 

 イベルメクチンは神経毒性を起こしうると予想されるため、失調、振戦、混迷の有無を母体で検討した。

 イベルメクチン系薬剤は、血液脳関門血液胎盤関門に発現している、薬剤の細胞外流出ポンプで細胞内への蓄積を防いで無毒化しているP-糖タンパク(P-glycoprotein)のために、脳・胎盤へのイベルメクチン系薬剤の侵入が防止されている。実際の臨床の現場でも妊婦への有害作用が観察されて来なかったため、フリカでは回旋糸状虫による失明を予防するため大量投与が実施されてきた。

 実験に使用されたマウスはP-糖タンパクが欠損していたため、人間との比較は不適切であり、ラットとウサギも人間とは代謝が異なるので、霊長類での検討が望まれるが実施されていない。

 なお、イベルメクチンの侵入を阻止するP-糖タンパクの発現は、妊娠中には、ラットでは増加するが、人では減弱する。

 

方法

 

 イベルメクチン150μg/kgかそれ以上を経口投与した。

 

結果

 

 自然流死産では、イベルメクチン非投与群では、2603回の妊娠で135例、5.19%、投与群では446回の妊娠で31例、6.95%が報告された。投与群での危険度は1.15倍。

 

 先天奇形では、イベルメクチン非投与群では、2666回の妊娠で33例、1.24%、投与群では500回の妊娠で12例、2.40%が報告された。投与群での危険度は1.69倍。

 

 先天奇形は、奇形が起きやすい器官形成期を以後の妊娠第2四半期(妊娠4か月以後)以降の妊娠の場合、イベルメクチン以外の駆虫剤であるアルベンダゾール投与群では438回の妊娠で一人、0.228%、イベルメクチン投与群では399回の妊娠で一人、0.25%が報告された。

 

 イベルメクチンが投与されていない場合、死産の頻度は通常1.83%。従って、この値を基準にすれば、今回の検討でイベルメクチンを投与した場合、流死産が増加しないとは言えないが、イベルメクチン非投与群でも1.83%以上の流死産が報告されているため、これを検証するには統計学的に最低92000人の妊婦にイベルメクチンを投与しなければならない。

 

 イベルメクチンが投与されていない場合、先天奇形の頻度は通常2.39%。従って、この値を基準にすれば、今回の検討でイベルメクチンを投与しても先天奇形が増加するとは考えにくい。これを検証するには統計学的に最低72000人の妊婦にイベルメクチンを投与しなければならない。

 

考察

 

 今後ともアフリカでは大量のイベルメクチン投与が持続するので、上記レベルで妊婦にイベルメクチンが投与された段階で、妊婦への投与の安全性が客観的に検討できるだろう。けれども現時点では安全性、危険性は不明である。

 

 

 イベルメクチンを販売しているマルホ製薬にも直接電話で問い合わせてみましたが、

「日本にはイベルメクチンを妊婦に投与したデータがありません」との事でした。

 アフリカなら大量に使用されているので、海外のデータがあると思い、検索したところ、英語論文3編が見つかりました。今回の取り上げた論文は3編の内、最も新しい報告であり、対象となった症例数も最大で、結果も同様でしたので、今回は残り2編の内容報告は割愛させて頂きました。

 添付文書では「妊婦への安全性を保障するデータがないので投与による利益が、予想される副作用を上回ると考えられる場合には投与を検討する」とあります。

 

 以上の論文検討からは、

 

1.自然流産・死産の頻度は、イベルメクチン投与群では非投与群より危険度が1.15倍であり、500回の妊娠で12例ですから、2.4%であり、統計学的には投与によって増加するとは言えない。

 

2.先天奇形の頻度は通常2.39%と考えられるので、イベルメクチン投与群では2.40%であり、投与群で多いとは言えない。

 

3.奇形が起きやすい器官形成期である第1四半期(妊娠3か月以内)を過ぎた第2四半期以後の場合、イベルメクチン投与群での先天奇形の頻度は0.25%と、通常の頻度である2.4%の10分の1程度に減少する。

 

 従って、以下のように考えられます。

 

 新型コロナで重症化する妊娠後期には器官形成期を過ぎているため、イベルメクチンを投与しても奇形が生じる可能性は低いと予想される。新型コロナが妊婦に感染した場合、問題なかったと言う報告が散見されるが、母体が重症化し、呼吸不全などで重症化した場合、胎児が低酸素にさらされる可能性がある。また、新型コロナは血管に感染して血栓症を起こす事があり、胎盤への血管で血栓が起きれば胎児が血流不足や低酸素を起こす可能性がある。

 よって、この場合にはイベルメクチンを投与するのが望ましく、胎児を守れる可能性があり、奇形を生じる可能性は低いと思われる。

 

 風疹などの感染症や薬剤投与その他で奇形が起きやすい妊娠3カ月以内(第1四半期)には、一般的に催奇形性のある薬剤は危険であると考えられる。イベルメクチンが統計的に奇形や死産を増すとは言えないが、安全保障のためには、新型コロナ回復者血清から製造された新型コロナ高力価免疫グロブリンを早期に投与する方が、イベルメクチンよりは危険がより少ない事が予想される。ただし、免疫グロブリン製剤の添付文書には、

「妊婦,産婦,授乳婦等への投与妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する」と記載されています。けれども少なくともイベルメクチンよりは妊娠中に投与される機会があったと思いますし、現在では武田製薬の免疫グロブリン製剤は、胎児水腫や胎児死亡を引き起こすパルボウイルスB19(伝染性紅斑=リンゴ病)やB型肝炎ウイルス等は除去されています。

 

 また、イベルメクチンを使わずに済むように、妊活前に新型コロナワクチンを接種すると言う考えもあります。風疹ワクチンにように、接種の前後2カ月間は完全に避妊し、妊娠していない事を確認してから接種するなら、妊娠可能世代で基礎疾患のない、ポリエチレングリコールアレルギーやアナフィラキシーの既往がない健康な女性なら、新型コロナワクチンによる重篤な副作用が起きにくいと考えられます。

 ただし、妊娠中には安全に接種出来るワクチンは不活化ワクチンだけです。中国、塩野義製薬、武田製薬と組むノババックス社の不活化ワクチンの方が、アデノウイルスベクターワクチンやmRNAワクチンより、医学的にも実際の報告でも安全性が高い事が予想されますから、選択の余地があるなら、これらのワクチンを選ぶべきですし、万が一、妊娠している場合を考慮するなら、妊娠可能世代でも不活化ワクチンを選ぶのが妥当でしょう。

 

 安全なワクチンが実用化され、接種してから2カ月以上開けて妊活を実施されるのが最良ですが、どうしても待てないなら、徹底的に感染対策を実施する必要があります。

 

 新型コロナは人から人へ、物体から口へ、トイレのドアノブや便器経由で糞便から口へ、電車、バス、新幹線、リニモ、飛行機、職場、園、学校で感染します。

 人が誰もいない場所ではうつりませんから、在宅業務に徹し、人込みや都市部には出ず、スーパーは空いている時間帯を選び、巨大スーパーや百貨店、ショッピングモールは行かないようにすることです。

 

 同時に、政府も感染対策を徹底しなければなりません。

 

 本当に少子化対策を実施する気なら、妊娠可能世代が大量に自殺している現状を改善し、全ての女性が安心して育児出来るように、以下を実践すべきです。

 

1.東京五輪の中止。

 

2.解雇された方、リストラに遭った方、職場が倒産した方、非正規雇用で雇止めされた方に保証金を出す。

 

3.至急、安全性の高い新型コロナの不活化ワクチンを承認する。

 

4.新型コロナの回復者の抗体が低下する前に、成分献血で血清を集め、免疫グロブリン製剤を製造する。

  現在は政府が意図的に回復者の献血を禁止しており、このままでは抗体価が低下してしまう。

 

5.Gotoキャンペーンの中止。

 

6.PCR検査の徹底。

 

7.隠蔽、捏造、証拠隠滅、差別主義の独裁政府を改変させるため、日本共産党、立憲民主に投票する。