2月の読書メーター
読んだ本の数:20

 

何度も読み返す本の中でも

特別な想いがあるのが

『スティルライフ』

 

この本とは30年のおつきあい。

それでも、読むたびに発見があるし

読みながら、同時に内観している。

自分という存在をつなぎとめてくれるような

かけがえのない存在。

 

こんなおつきあいができる本を

これからも育てていきたい。と思う。

『流転の海』シリーズもそんな立場になってきている。

 

 

何か迷ったり、答えが見つからない。

そんなとき、だれかとおしゃべりして相談する

という選択肢はない。

 

自分で、ホロスコープをみたり

易経や四柱推命など東洋占星術を観てもいい。

本を読んでもいい。

答えは、自分の中にあるはずと信じている。

この場合の自分って、身体と魂魄と全てのことで

そうすると、自分ってどんどん広がる。

 

但し、これは私のやり方。

相談して出口を見つけようとする方法も尊重する。

自分の切り抜け方が全てではない。

傲慢になってはいけない。と自戒の念をこめて思うのラブラブ

 

 



記憶の歳時記記憶の歳時記感想
愛情にはいろんな種類、段階があるのだと思った。懐かしくも冷徹に、愛情深く描かれる母上との記憶も、元夫たちのことも。著者が、現在進行形でいい人と巡り合えてよかったと思う。エッセイに添えられた、文字がとても好き。生活感があり、颯爽とした美しい字。
読了日:02月01日 著者:村山 由佳


余命一年、男をかう余命一年、男をかう感想
節約を重ね続けてマンションも持ってる唯ちゃん40歳。余命宣告されてからホストの吉高と大豪遊。吉高が結構まともで、ちょっと私偏見が多かったなと反省。唯のめんどうくささが愛おしくなってくる。
読了日:02月04日 著者:吉川 トリコ


見知らぬイタリアを探して見知らぬイタリアを探して感想
イタリア貴族って凄い。知らなかった。自分の人生だけでは知りえない世界を垣間見ることができた。
読了日:02月06日 著者:内田 洋子


ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルトザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト感想
普段の森永さんと全く違うトーン。真剣に書いてる(シツレイ!)国民1人当たりGDPがどんどん転がり落ちている日本。手取り収入が減り、消費が冷え込んで、茹でがえるみたいに貧しくなっちゃった。それでも日本人は真面目で勤勉。政府に、政治家に、財務省に向かって一揆もしない。でも、事実を知る努力は怠りたくないし、現実から逃げることはできなくても、それでも、明るく生きる方策を考えたい。
読了日:02月06日 著者:森永 卓郎


流転の海 第3部 血脈の火 (新潮文庫)流転の海 第3部 血脈の火 (新潮文庫)感想
再び大阪に戻ってきた松坂一家。ただ時流に乗るには遅すぎた。きんつばを焼いて髪結いの亭主になれない熊吾。次々事業を展開してくなる熊吾。持って生まれた性分だから仕方ない。ポンポン船で生活する家族、やくざに、宝石商、でてくる人々への興味が尽きない。噺家の最期、桜の樹から笑い声が聞こえたエピソードに泣けた。熊吾が伸仁に話しかける言葉はわたしにも染み入る。
読了日:02月08日 著者:宮本 輝


ぬるい眠り (新潮文庫)ぬるい眠り (新潮文庫)感想
『とろとろ』の主人公の気持ちがなんだかわかる。今現在の世間の価値観なんて、放り出しているところが好き。そんな物語が詰まっている。
読了日:02月08日 著者:江國 香織


エストロゲン (小学館文庫 あ 22-3)エストロゲン (小学館文庫 あ 22-3)感想
47歳の女性たち。不妊治療を諦めた千乃、マダムな真子、シングルマザーの泉。満たされない時、理性でない何かに支配されるような焦燥感とどう付き合うのか、答えはでないけれど。それでも、人生の舵は自分でとる、と決めた女は強い。作中では「おばさんだから」という言葉何度もでてくるけれど、そのたびに切ないような、ハサミで切りたいような気持になる。そうか、自分で自分にレッテルを貼る必要はないんだ。
読了日:02月11日 著者:甘糟 りり子


流転の海 第4部 天の夜曲 (新潮文庫)流転の海 第4部 天の夜曲 (新潮文庫)感想
『自分の自尊心よりも大切なものを持って生きにゃあいけん』私にとってそれは何だろう、とずっと問いかけている。富山の空気は房江には合わないし、熊吾の事業も行き詰まり。それにしても、こういう時期に西条あけみに出会ってしまうのが熊吾。潤沢な経済力がない時の女遊びは致命傷になることを、身をもって教えてくれてるのかしら熊吾。噛み合わなくなった歯車の怖さ。
読了日:02月11日 著者:宮本 輝


真昼なのに昏い部屋 (講談社文庫)真昼なのに昏い部屋 (講談社文庫)感想
美弥子さんと、夫:浩ちゃんとの会話の噛み合わなさ、聞いていなさは、もう哀しくなる。それを特に気にしていなかった美弥子さんなのに、自分の言葉がちゃんと伝わる相手と出会ってしまったら。ヌクヌクした居場所から外に出ちゃった。でも、籠から出た小鳥にジョーンズ氏は興味を失うの。昏いどころか、奈落の底よ、これはホラー小説だわ。
読了日:02月14日 著者:江國 香織


流転の海 第5部 花の回廊 (新潮文庫)流転の海 第5部 花の回廊 (新潮文庫)感想
阪神に戻ってきて、伸仁は蘭月ビルのタネに預けられる。この住まいが凄まじい場所。民族思想での対立と貧困とが渦巻いている。房江も小料理屋に働きに出る。房江は機転が利いて、働き者。商いに本当に向いている。嫌味を繰り出しづつける雇い主に向かって、辞める前に策略を練る。「自分の料理で満員御礼にしてから辞めてやる」この底力。大好きだ。
読了日:02月16日 著者:宮本 輝


夜果つるところ夜果つるところ感想
人里離れた墜月荘で暮らす人々。ビイちゃんと呼ばれる美しい子供の視点で物語を追う。秘密にまみれた怪しい雰囲気の墜月荘にずぶずぶ嵌ってしまった。そして、最後の奥付(偽?!)でひっくり返った。あぁびっくりした。え?表紙も?
読了日:02月17日 著者:恩田 陸


ひとりでカラカサさしてゆくひとりでカラカサさしてゆく感想
好きなように生き『死』も個人的に片を付けた3人。でも、残された者たちは混乱。身内でも他者で、分かり合えるなんて幻想。だからこそ、共にすごす時間の積み重ねを大切に思う。こう思うのは実行者が年配だからかもしれない。残された人たちの混乱しながらも、新しい風が吹く、少し物の見方が変化する、またはあえて変化しないことを選択する、その一瞬が愛おしくなった小説。
読了日:02月18日 著者:江國 香織


流転の海 第6部 慈雨の音 (新潮文庫)流転の海 第6部 慈雨の音 (新潮文庫)感想
熊吾が移ろい気味、なんとなく他者との線引きがせまくなったような。歳かな?そして、海老原がこんなあっさりと逝くなんて。私は柳田氏とダイソーの会長が重なる。エネルギーというか。
読了日:02月22日 著者:宮本 輝


流転の海 第7部 満月の道 (新潮文庫)流転の海 第7部 満月の道 (新潮文庫)感想
房江と麻衣子が語り合う場面がゾクゾクする。年代は違っても認め合わずにはいられないふたり。そして、房江が商いについて、あれこれ連想し思考する姿には心の底からワクワクする。幼少から結婚するまでの苦労を糧にし、生きるエネルギーに昇華させることができる賢い女性。ホント、熊吾は引退して房江に小商いをさせてよ。
読了日:02月22日 著者:宮本 輝


すべての見えない光 (ハヤカワepi文庫)すべての見えない光 (ハヤカワepi文庫)感想
第二次世界大戦、ドイツ占領下のフランス:サン・マロ。盲目の少女と孤児だった優秀なドイツ兵。彼等はどうなっていくのか。生き残った者を知りたくても、大きな時代の流れの中では、個人の歴史をひとつひとつ辿るのは難しい。余白の中に想像するだけ。「炎の海」の行方も同じく。場面が変わるたびにいろんな思いが交差する。『悪童日記』を再読したくなった。
読了日:02月23日 著者:アンソニー・ドーア


寂しさから290円儲ける方法寂しさから290円儲ける方法感想
麦わら帽子をかぶった、麦わらさんへの相談料は290円。ところどころに見え隠れする、ドリアンさんそのものが投影されているような瞬間を楽しみながら読む。(同じ著者をずっと追いかけることの幸福感)悩んでいた相談者が、初めて会った麦わらさんに、心を開くことに希望を感じる。きっと、遠い遠い他人でしか風穴をあけられない出口ってある。近すぎては見えない。触れられないこと。290円の理由には納得。乾杯したいわ。
読了日:02月25日 著者:ドリアン助川


抱擁、あるいはライスには塩を 上 (集英社文庫)抱擁、あるいはライスには塩を 上 (集英社文庫)感想
神谷町のお屋敷に暮らす柳島家の人々。庭から外にでなくても、全てが完結してしまうような家。その成り立ちや、家族内の奇妙な風習にうっとりする。今回は、親の資金力で遊学しつづける桐ちゃんの、哀しみ、おかしみに胸がいっぱいになった。自分を外に出すときに、ちりばめるユーモア。なんて繊細なひとなんだろう。本心の分からない素敵なイケ叔父だわ。
読了日:02月25日 著者:江國 香織


抱擁、あるいはライスには塩を 下 (集英社文庫)抱擁、あるいはライスには塩を 下 (集英社文庫)感想
光一を見事に愛で飼いならした?!涼子に舌を巻く。素敵。このふたりは、愛してる人とは違う人と結婚したり、暮らしたりすることはまだなさそう。ロシア娘だった絹さんのロマンスにひっくり返る。壮絶な秘め事を持つと人は強く優しくならざるを得ない。どうしようもなく。娘時代あれほど奔放で輝いていた菊ちゃんが、なんだか元気がなくなっていくように思えて、少し哀しい。
読了日:02月25日 著者:江國 香織


東京タワー (新潮文庫)東京タワー (新潮文庫)感想
耕二の言う『気を許す』って実はとても琴線にふれるものかも。気を許してしまうと、ぶっそうな言い方をすると殺生権が移ってしまうような。外からみると、エキセントリックな喜美子の言動の背景を、なんとなく想像できるようになったのは、大人になる楽しさ、再読の面白さだと思った。そして詩史の現実感のなさには、惹かれてしまう。
読了日:02月27日 著者:江國 香織


スティル・ライフ (中公文庫 い 3-3)スティル・ライフ (中公文庫 い 3-3)感想
世界と自分その成り立ち、距離の取り方。冒頭の文章は暗記するくらい好き。今回は、長距離移動のおともにした。何度も読み返せる、いまだに色褪せない、読むたびに新しい発見がある小説。
読了日:02月27日 著者:池澤 夏樹



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