『アヒルの子』という映画を観ました。

生きづらさを抱える20歳の主人公が、封印していた過去の傷を探っていく物語です。

 

一見幸せな家族の中で育ったけれど、その家族から傷つけられ苦しんできたという彼女。

5歳の時1年間ヤマギシ会に預けられた経験があり、そのことで「私は親から捨てられたと思った、そして二度と捨てられないようにいい子を演じてきた」といいます。

その「いい子」の仮面をかなぐり捨て、2人の兄、姉、両親に自分の思いをぶつけていきます。

 

 

主人公=監督は「撮るか死ぬか」と覚悟を決めて撮ったのだそう。

涙と鼻水を垂れ流し、嗚咽にのどをつまらせながら家族に思いをぶつける姿が、とても切なくていとおしかったです。

 

 

映画の後半、彼女はかつてヤマギシ会で同じ1年間を過ごした同級生たちを訪ねて歩きます。

元同級生たちの語るところでは、ヤマギシ会ではおねしょをすると叩かれたり、寒くても靴下をはかせてもらえず、しもやけになったとかいいます。

ヤマギシの教育係に同情を寄せ、叩かれたことも含めて納得している人もいれば、あのせいで自分が子どもに優しい感情をもてないという人もいました。元同級生たちは、その特殊な1年間をそれぞれに自分のなかで受け止めているようでした。

 

 

彼女はさらに、子どもをヤマギシ会に預けた親や、当時ヤマギシ会で子ども担当だったスタッフとも会い、最後にふたたび親と対峙します。

「よかれと思って」というのは大人のエゴではないかと糾弾する彼女。

自分がどれだけ愛されているのかわかるのか、という母。

会話はかみ合わないようでかみ合うような、何かもどかしさが残ります。

しかし周りと思いをぶつけ合うなかで、彼女には生きる気持ちが湧いてきたようです。

 

 

映画の中から印象的なせりふをいくつか。

 

「お母さんはその言葉で救われるかもしれないけど、私は救われない。と思う」

 

「お父さんお母さんにとっては過去のことでも、私にとっては今のこと」

 

 「5歳の子が自分からあんなところ『行きたい』って言うわけないじゃん」

 

 

 

この映画は、ずっと思っていたのとは違う家族の姿をあぶり出してしまったということで、上映に際しては家族から抵抗があり、DVD化の見込みもないそうです。

大阪で2/3(土)~9(金)に上映されるそうなので、機会がありましたらぜひご覧ください。