電車の窓 | 自作の意味怖置き場m(_ _)m

自作の意味怖置き場m(_ _)m

ブログの説明を入力します。

慌てて飛び込んだ最終間近の電車には、平日だからか、或いは田舎の路線だからか、ほとんど人が乗ってなかった。

その車両には、窓の両側に向い合わせで長い座席が並んでいて、私はドアのすぐ隣にある座席の真ん中辺りに腰を降ろした。

私が座る座席には、私以外は誰も座ってなく、ドアを挟んだ隣の長い座席でも、同じ様に疲れた中年の男性が一人で座っている。

その向かい側の座席には、少し化粧の濃い中年女性が同じく一人で座っていた。私がいる車両の乗客は、私を含めてその三人だけだった。

電車が走り出してから間もなく、私はうとうとと浅い眠りを繰り返していたのだが、何か急に重苦しい空気を感じ、顔を上げると、正面の窓に白いワンピースを着た若い女性の姿が写っていて、私はその女性と目が合った。

私はとても驚き、声も出せずに固まっていると、その女性はゆっくりと体を回し、後ろを向いた。

長い髪を背中に垂すその女性は、やがて、窓から遠ざかる様に、わずかに少しづつその姿を小さくせると、すうっとその頭を沈めて姿を消した。

窓には、何事もなかったかの様に、座席に座り怯える私の姿が写っていた。