「我輩は猫である」をゆっくりとしたペースで読み返しているのだが、これを読むのは十年ぶりとか二十年ぶりとかのことだと思うのだけれど、細部を意外とキッチリ憶えていることにビックリ。
ただ、この小説が社会における格差の話を正面に据えている、ということは忘れていた。
とゆーか、昔読んだときは格差のこととか考えていなくて、このへんの話はスルーしてしまったんじゃろーね。
ま、格差の話とか言っても、マジな論考があるわけでなく、漱石の「俺はインテリだから金はないけど実業家より偉いんだもーん」みたいなひねくれたメッセージが伝わってくるだけですね。
ま、所得の格差とか最近騒がれているけれど、そんな話は昔から小説でとりあげられていたのじゃな。
現代の格差問題のユニークなところは、世代間の対立かもしれん。
俺の親父くらいの年代は経済の高度成長でものすごく得をしたが、俺より若い連中は就職氷河期とかデフレとか賃金上昇率停滞とかで、ひどい目にあっている。
ここらへんをタックルした小説はあるのかにー。
村上龍の「オールドテロリスト」では、年寄りの成功者が社会秩序に叛乱していて、これ本来ならば年寄りが若者の蜂起を征圧するてな筋になるべきで、だからこの小説あまりしっくりこなかったのかなー。