勝負・・・にはならないかもしれないね
翌朝、オイラはばあちゃんと一緒にベアーズの
練習に参加することになった。
ちょっと曇り空で天気が悪いけど雨は降らな
そうだ。ばあちゃんはアメリカ合衆国の国旗の
デザインをした風呂敷に荷物を詰め込んでいる。
「ばあちゃん、すごくファンキーな風呂敷だね!」
むこうに行ってからばあちゃんの服装とか
趣味がずいぶんアメリカンな感じになった。
「さあ、行くか」
ばあちゃんは荷物を詰め込むとさっそうと
歩き始める。去年一緒に行った時がウソの
ような頼もしさだ。
「ばあちゃん、やっぱり今日も角やんと
勝負するの?」
練習場にむかうばあちゃんの目は
すごく堂々としていて、空を見上げて
いるような感じだ。まるでその先に
ばあちゃんの求める世界があるかのように。
「勝負・・・にはならないかもしれないね」
ばあちゃんはオイラの質問にこう答える。
勝負にならない?
「どういうこと?」
オイラは気になってまた質問したけど
ばあちゃんはそれに答えず再び
ばあちゃんの求める世界へと迷いなく
歩きはじめていた。
「今回は時間前に着いたね」
しばらくするといつもの練習場のある
土手が見えてくる。
集合時間の10分前には着きそうだな。
「さて・・」
ばあちゃんがボソッとそう言った瞬間
オイラの背筋がゾクッとした。
何かよく分からないオーラがばあちゃんの
体中から噴き出しているようだ。
一体この1年間で何があったんだろう?
