写真は浅見真州師、素晴らしい能楽師だったが、お亡くなりに・・・。

今日は梅若紀彰師。

 

今日は久しぶりの国立能楽堂。「松風」梅若紀彰師。

「熊野(ゆや)松風に米の飯」

能楽愛好家の間でよく使われる言葉。能「熊野」と「松風」と米の飯は最も美味で飽きが来ないという意味だそうです。

そのくらい有名な「松風」

 

在原行平が須磨に流されて、そのとき会った松風と村雨姉妹。

行平は許されて都に帰ったが、二人は行平のことが忘れられないで、死んでからもこうやって行平を求めてやってくる。

 

毎日汐を汲んでいる二人。

月は一つだけれど、二つの桶にうつる月は二つ・・。月は行平、二つとは・・

 

だんだんと松風の感情が高ぶってくる。

行平の形見の着物を抱きしめて嘆き悲しむところなど、能もこんなに官能的に表現するのか、と思ってしまった。

この写真の文字にも「松風 見留」とあるが、今日もそうだった。

この松を行平と思い込んで松風は橋掛かりからじーっと見つめる、なんとも見どころの多い能であった。

 

能楽師がいなくなっても拍手はしばらくおこらなかった。

観客はきっとこの雰囲気をじっと味わっていたのだろう。