毎日新聞に連載されている浅田次郎の「おもかげ」があと数日で終わってしまいます。

さすが、読ませてくれました!

いずれ、単行本になるでしょうから、ストーリーは書きませんね。

 

でも、ちょっとだけ書くと、主人公は定年退職のその日、帰りの地下鉄の中で倒れ、意識不明の状態で病院に運ばれます。

そして、意識不明のままいろいろなドラマが・・・。

 

彼は枕元で話しかける人の言っていることも全部聞こえています。

 

このことで思い出しました。

人間は一番最期まで、聞こえる、と、昔、聞いたことがあります。

 

もう十年前になりますが、母が倒れた、という連絡をもらって駆けつけた時は、病院のベッドで息をしているだけの母でした。

 

敢えて延命治療とかしなかったのですが、枕元にモニターが一つあって、心臓?肺?の状況がグラフでずっと知らされていました。

 

最期は、姉たちが用事で家に戻っていったので、わたし一人でした。

このとき、耳は最期まで聞こえる、と思いだした私は、本当かどうかわからないけれど、ずっと話しかけていました。

 

何を話したか?

一番わかりやすくて、母が喜ぶこと。

「もうすぐ、Tくん(私の息子)の赤ちゃんが生まれるよ」

 

このことを何度も何度も何度も話しました。

すると、その度に固く閉じられた目を開けようとするしぐさをするのです。

 

あれ、本当に聞こえているのかな!?

 

ずっとそのことを話していました。

黙ると、モニターは小さな波になるのですが、話すと、波の幅が大きくなるのです。

 

わかりません、私の思い込みかもしれませんが、それでも、聞こえていたと信じています。

 

そして、まもなく、モニターの波が平らになって、息をひきとりました。

 

姉たちには悪かったけれど、二人だけでこんな時間を過ごすことができて、よかったなあ、と今も思っています。