娘が、成人式を迎える妹孫の着物の小物などと一緒に、来春卒業の姉孫の半襟やらも念入りに探して準備している。
季節早目にお値打ち量販店でと言っても、それなりにお高い物なので、重ね衿や帯締め、帯上げ、足袋などは手持ちの物で済むように、色柄等会わせ方をじっくり考えながら選んでいる。
娘「成人式で、選ばれるかもしれないから」 は?
ポロっと、こぼした意味が分かりかねた。
妹孫「お母さん、Aさんや、Bさんもいるから。」
話を聞いて、漸く大筋だけ理解した。
この地域では、中学校ごとに成人式を行う。
孫の中学校へは、➀②③の3校の小学校から入学してくるという。
孫はそのうちの➀小学校からの入学者である。
元々、成人式の代表を出す小学校は順番制で、地域の方から「➀小学校であったら、妹孫さん、よろしくね」と声を掛けられていると言うのだ。
しかしながら、②小学校では、代々の資産家で名家の娘Aさんが成人式の歳に該当しており、③小学校には、同じく有力な市会議員の娘Bさんもいるので、どちらかが選ばれる可能性が高いだろうと妹孫は言っている。
A家のお子さん達の成人式では、上手く順番が合ったのか、全員の子が代表になったらしい。
B家のお嬢さんも、東京の大学に入り優秀らしい。
妹孫もそれなりに頑張ったとは思うが、ただの平民サラリーマン家ですもの、早々に諦めた方が良さそうである。
田舎の掟を身をもって知ってきているはずの娘であるが、親の身となると一縷の望みを掛けたくなるものらしい。
お婆ちゃんは? 私はね、もう今更何とも思わないわ。