都合で、一人バス旅参加となった。
2か所での集合で知り合いはいないが、友達同士やカップル(2組のみ)などで、全員がいわゆる老人である。
そこに、一人での参加の人(私も)も一定数いる。
高齢の参加者は、いづれもゆっくりな動きで、杖を使う人もちらほら見えて、比較的身軽な方な私たちを先に行かしてくださる。
過去に訪れた場所だが、思い出しながら充分に楽しみ、土地の名物も堪能できた。
ハイキング気分の山の中腹の休憩所では、土産物店に入る人が多く、1時間ばかりとあって登る人はほとんど見かけなかった。
バスでお隣であった一人旅のお洒落な美人さんのAさん(仮にこう呼ぶが、互いに名乗りあってはいない)は、お若い(後で61歳と聞く)のに杖をつき、少し体を傾けて歩かれる。
立ち話で差しさわりのない話から入るが、彼女は癌が骨に転移して杖を使うようになったこと、母一人子一人で30歳の息子がいて5~6歳年上の女性と付き合っていること、等を話してこられた。
今後とも、無関係な間柄だからこそ、安心して話せるのだろう。
空腹の遅い帰りのバス中で、少し食べ物を交換して、バスを降り笑顔で別れる。
土地柄、息子さんが自動車でお迎えかと思ったが、通勤の自転車で帰宅すると言う。
日頃からの、彼女の自立心を見た思いがした。
さて、私も、降車駅近の息子を当てにせず、自力でバスで帰宅するとしよう。