この作家さんは、ヨーロッパが舞台の重厚な歴史ファンタジーを書かれる方で、これまで何点か読んでいた。この作品も、図書館で見つけたとき、既に読んだような気がしたのだが、借りてみた。

 

 

 

 

”17世紀のオスマン帝国”と、”第一次大戦中のドイツ帝国のUボート”を行ったり来たりする幻想的な物語。

 

私は、このオスマン帝国というのに惹かれた。

 

 

 

 

 

以前、このドラマを、長いシリーズだったが全部見た。後宮を舞台にした、帝国最盛期のスレイマン皇帝と、その寵姫ヒュッレムの物語だ。奴隷として連れてこられたヒュッレムだが、皇帝に愛され、権謀術数を駆使して、後宮のトップにのぼりつめる。実際の人物がモデルだ。

 

トルコのプライド全開というようなドラマだったが、オスマントルコの時代の、東欧とのかかわり、社会制度や風習が面白かった。

 

皇帝にトルコ人の正妻はいない。武力で征服した東ヨーロッパから、美女を集めてきて、ハーレムで教育し、皇帝の妃とする。妃は奴隷の身分で自由はないけれど、もし、自分の息子が皇帝になると、母后として大きな権力と富を手にする。自国民ではなく、ヨーロッパ人の血を継承するという発想が興味深い。

 

 

やっぱりこの小説は既読だった。しかし、ドラマで、オスマントルコの時代の服装、宦官、戦争における軍隊の様子を見たので、今回の方が、映像が浮かんで楽しめた。

 

 

日本の世界史のテキストは、中国史以外はヨーロッパやアメリカ中心で、中国以外のアジアや中東についてはほとんどわからない。ヨーロッパといっても、イギリスやフランス中心で、ドイツ以東のことはあまりよくわからない。この作家さんはよく調べて書いているな、と思う。

 

4月から始まったNHK Eテレの「3か月でマスターする世界史」は、”オリエントから見た世界史”で、とても興味深い。