数年前、ババモンと日帰り温泉に行ったときのこと。洗い場で、私に聞いてきた。
ババモン「これどっちがシャンプーかわかる? よく見えへんねん」
次に行ったとき、私は先に、
私「こっちが、シャンプーで、こっちが身体を洗う方やわ」
と教えてあげた。すると、
ババモン「そんなん、言われんでもわかってるわ!!」
と、ものすごく腹を立てた。
どこから認知症になったのか、はっきり線を引くことは難しい。
けど、「認知症か?}と疑い出したころから、ババモンは、子供の反抗期のように、何でも”NO!”と言うようになったと思う。
「何でもわかっている私をばかにするのか!? 私は私の好きなようにするから、ほっといてくれ!」というような心理なのか。自分以外の全てに対して、不信のかたまり、になった。今もそうだけど。
そして、「自分は何でもできるのだ! しないのは、ただやる気が出ないだけ」と考えたがり、助けられるのを嫌がった。
特に、娘が助けたことは、忘れたいから、簡単に忘れられる。だから、「何でも自分でしている」と信じることができる。
私が、ババモンの家の中を、片づけようとか、きれいにしようとかすると、「娘が勝手に何かおかしなことをしないか?」と、不信に満ちた目で、私を見張っていた。
今もそういうところはあるが、ババモンも前ほど観察力がないし、見たこともすぐ忘れるから、かなり楽になった。私が、こっそり、ババモンの家の中を掃除したり、洗濯物を持って帰ったり、ほったらかしの物をごそごそ整えていても、怒るところまではいかなくなった。まあ、まだ、
ババモン「私はわざとそういう風にしているんやから、ほっといて!」
と言うこともあるから、面倒だけれども。
立ち上がりが大変になってきたババモンの着替えを手伝っても、割とおとなしくしている。
ババモン「こっちが前や!」
とか、下着の後ろ前を、私が間違っているかのように、やり直させるのは好きだけどね。それに、私がババモンの前にひざまずく形で、靴下をはかせてもらうのは、自分が”女王さま”みたいに感じるのか、うれしそうだ。
しかし、認知症の場合、寝たきりぐらいの状態になっても、「自分は普通だ」と思い続けるらしい。だから、介護者の疲弊は、本人にはわからず、「あなたも大変だから、私はショートステイに行くわ」なんていう、本人のご協力は、絶対望めないのだ。
