「泣きっ面に蜂」とは、よくできた言葉だなあ、と思った日だった。

 

その日は、仕事でも疲れていて、首肩がパンパンで、もう脳梗塞でも起こしそうやわ、と思っていた。ババモンとの夕食時でも、普段より多めにイライラした。

 

やっと、ババモンを家に送って、やれやれと携帯をチェックしたら、いとこのAちゃん(ババモンのめい)から、留守電が入っていた。

 

「お母さんのことで相談したいんやけど」

 

何のことかはすぐわかった。ババモンは、昨年末から、自分の実家のことで妄想にとりつかれていて、Aちゃんに、何度も電話しているらしいことは、ババモンから聞いていた。

 

Aちゃんは、優しい人なので、ババモンにねらわれる。私も気にはなっていたが、親戚ということに甘えて、様子を尋ねる電話をしていなかった。冠婚葬祭以外は、ほとんど会うことはない親戚だ。

 

ババモンが認知症と診断されていることは、2年ほど前に、Aちゃんがババモン宅に遊びに来てくれたときに、ちらっと話しておいた。

 

けど、ババモンが電話で話すことは、同じことの繰り返しだったり、相手の言うことは絶対否定して自分が正しいと主張するなど、おかしなところは多いけど、しっかりしたことも言うので、Aちゃんとしても、認知症かどうかわからないところがあったようだ。

 

Aちゃんには、ババモンが3日続けて電話していたらしい。けど、優しいAちゃんは、「私はかまへんねんけど、○○ちゃん(私のこと)にも、一応知らせとこうと思って」という風に言ってくれた。

 

Aちゃんに迷惑をかけていることを謝りながら、「近所にも迷惑をかけている。私の言うことなど聞くババモンではないからどうしようもない」と言って、私も泣けてきた。

 

その晩は、精神状態がハイになりすぎて、倒れそうな気がした。「私もまるで、(興奮状態の)ババモンやな」と、ふと思った。

 

(つづく)