武装勢力、さらなる攻撃を動画で宣言 中国総領事館襲撃
11/24(土) 23:38配信
パキスタン南部カラチで2018年11月23日、男3人が中国総領事館を襲撃する様子を捉えた監視カメラの映像(現地治安当局提供)
パキスタン南部カラチで23日に起きた中国総領事館襲撃事件は、シルクロード経済圏構想「一帯一路」をはじめとする中国の進出に抵抗する勢力の存在を強く印象づけた。中国の投融資に頼るパキスタンにとって最も避けたい事態で、治安当局は警戒を強めている。
地図
「我々の故郷を搾取し、軍事利用をもくろむ中国は即座に撤退せよ」。襲撃から一夜明けた24日、犯行声明を出した武装勢力の幹部は動画を朝日新聞に送ってきた。内容は、襲撃の実行犯とみられる容疑者3人が、中国関連施設への攻撃を宣言するものだ。
治安当局などによると、容疑者3人は23日朝、総領事館の入り口で銃を乱射し、手投げ弾を使って警官や市民ら計4人を死亡させた。
容疑者が所属する武装勢力は南西部バルチスタン州の独立を求めており、資源の流出や軍港化がうわさされる同州沿岸のグワダル港開発に反発。8月にも同州で中国人労働者が乗ったバスを自爆攻撃し、5人を負傷させた。
パキスタンは中国にとって対インドで利害をともにする長年の友好国であり、中国内陸部からアラビア海に抜ける物流の要路でもある。両国は2015年に総事業費約450億ドル(約5兆円)の開発事業を進めることで合意。パキスタンのイムラン・カーン首相は今年11月頭に訪中し、財政危機を乗り切るための追加支援の約束を取り付けた。襲撃は支援内容を詰める両国の協議のさなかに起きた。
朝日新聞社
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
中国領事館(カラチ)で自爆テロ
2018/11/24
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)11月24日(土曜日)
通巻第5901号
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中国領事館(カラチ)で自爆テロ
「資源を盗む中国への報復」とパロチスタン独立運動が声明
習近平のシルクロードの目玉は「中国パキスタン経済回廊」で、総額620億ドル。世界からは「借金の罠」と非難囂々だが、どこふく風。しかし現場のパキスタン西部バロチスタンの民衆の動きは違った。
2018年11月23日午前九時頃、カラチにある中国総領事館を三台の爆薬を積んだ車が襲った。一台は土嚢を積み上げた警備所を襲い、警官二人が死亡、後続の二台が検問を通り抜けて正門前付近まで突っ込み、自爆テロに及んだ。
中国領事館前にいたパキスタン人二人が犠牲となって、銃撃戦となり、テロリストと見られる三名が死亡した。
同日、近くの都市のバザールでも自爆テロがあり、買い物客でごった返す場所だったため51名の犠牲がでた。この二つの自爆テロは密接に関連しており、バロジスタン独立運動組織は「中国は資源を盗んでいる。報復だ」と声明を出した。
この自爆テロはイムラン・カーン首相率いる新政権に政治的ショックをもたらした。中国は「警備に手抜かりがある」とパキスタン政府を批判、パキスタンは「中国との関係は揺るぎない」と釈明に追われた。
パロジスタン地方はパキスタン西部に宏大な土地をもち、シルクロードの起点となるグアダール港がある。2017年にも省都クエッタで中国人教師二人が誘拐され、殺害される事件が起きた。シルクロードの建設現場は原油、ガスのパイプラインと高速道路、鉄道、光ファイバーの工事が行われており、パキスタン正規軍が警備に当たっている。
他方、中国国内でも「テロ」が横行している。
この一ヶ月だけでも、10月25日に重慶の幼稚園が襲撃され、ナイフを振り回した39歳の女性が14名の園児を殺傷した。
11月21日には遼寧省胡廬島で、遠足に向かった児童の隊列に車が突っ込み、5名が死亡、11名が負傷するという事件が起きた。
11月22日、雲南省昆明にある雲南総合技術大学構内で、若い男が暴れまくり、一人が死亡、11名が負傷(うち三名が重体)。
これらいずれも欧米でおきている銃乱射や、繁華街での無差別的なトラック暴走テロなどに触発された社会不安の現象と見られる。
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<サウジアラビア、緊急に10億ドルをパキスタン中銀に送金したが
2018/11/22
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)11月23日(新嘗祭)
通巻第5899号 <前日発行>
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パキスタンの債務不履行という時限爆弾、まもなく爆発か
サウジアラビア、緊急に10億ドルをパキスタン中銀に送金したが
11月19日、サウジアラビアはパキスタンの中央銀行に10億ドルの送金を済ませたと発表した。近日中に、あと20億ドルの振り込みがなされるという。
イムラン・カーン首相は、就任直後に北京ではなく、リヤドを訪問し、緊急に60億ドルの金融支援を要請し、サウジ側はとりあえず30億ドルの救済を約束していた。
中国はパキスタンに20億ドルの緊急支援を要請され、10億ドルを送金したとされるが、いずれも焼け石に水。火の車の外貨逼迫は一向に改善されず、低迷を続けている。パキスタンがデフォルトを宣言すれば、IMF管理下にはいり、経済再建のために、債権国には八割前後の債権放棄が迫られる上、経理が透明性をつよく求められる。
さらにパキスタンにとっては悪い動き。
トランプ政権は年初来、パキスタンへの軍事支援16億6000万ドルを中断したままにしている。
米国はアフタニスタン戦争で、パキスタンの四つの空軍基地を借り受け、タリバン攻撃の出撃基地としてきた。みかえりに武器供与など軍事支援を強化してきたが、パキスタン軍は面従腹背で、タリバンに武器を横流し、米軍の作戦予定を漏洩した上、パキスタンの領内にタリバン幹部の隠れ家を提供してきた。
その典型例がアルカィーダの首魁オサマ・ビン・ラディンだった。パキスタン軍幹部がラディンを保護し、隠れ家を提供していたのだ。米軍の不信感はビンラディン殺害後も解けず、タリバン掃討作戦で協力が得られないばかりか、数々の裏切りに遭遇し、軍事支援中断という措置が継続されている。
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(読者の声3)貴誌前号パキスタンの債務不履行ですが、戦後だけでも十数回、デフォルトをやらかして、外貨準備は800億ドルくらいのはず。
人口は日本の二倍以上の二億八千万人もいて、軍隊は65万人という異様な軍事志向のくにですね。しかも援助最大は日本の筈、デフォルトで日本の損害は中国より大きいのでは?
(JJセブン)
(宮崎正弘のコメント)
二十年ほどまえにパキスタンを十日ほどかけて一周したことがありますが、当時はまだ治安もよく、難民の街ペシャワール(武器の密造と密輸で悪名高い町です)からカイバル峠にも行くことができました。
ただし二人の兵隊がライフルをもってジープに乗り込んできました。観光客の護衛です。その後、カイバル峠は観光客を受け付けていないと聞いております。
日本の援助は下記の通りです。
(1)有償資金協力(2015年度まで,E/Nベース) 9859.9億円(2015年度実績50億円,E/Nベース)
(2)無償資金協力(2015年度まで,E/Nベース) 2649.4億円(2015年度実績54.57億円 E/Nベース)
(3)技術協力実績(2015年度まで,JICAベース) 558.7億円 (2015年度実績 24.12億円 JICAベース)
つまり償還して貰うべき融資は83億ドルということで、中国の620億ドルと比べると、低いですね。IMF管理に入れば、日本の債権も80%カットということになりかねませんが。。。。
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