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失敗しないための美容相談所~整形ブログ・名医の条件・山口

全国美容外科の医師選びを解説中。
①症例写真が綺麗=技術が高いは間違っている
②美容外科学会には2種類ある
③選んではいけない美容外科とは

豊胸用シリコンバッグの主要4ブランド(モティバ/ベラジェル/ナトレル/メンター)を、素材・形状・表面・公的承認・安全性トピックで横並び比較します。最後に、学会論文や公的情報ソースも引用で添えます。

 

豊胸インプラントの主要ブランド比較

項目 Motiva(モティバ) BellaGel(ベラジェル) Natrelle(ナトレル|Allergan) Mentor(メンター|J&J)
中身(フィラー) コヒーシブシリコンジェル コヒーシブシリコンジェル コヒーシブシリコンジェル コヒーシブシリコンジェル
形状ライン ラウンド(Ergonomix/Ergonomix2 含む) ラウンド中心 ラウンド+アナトミカル(410 など) ラウンド+アナトミカル(MemoryShape など)
表面加工 SmoothSilk/SilkSurface(ナノテクスチャー系) スムース/テクスチャー スムース/従来型テクスチャー スムース/従来型テクスチャー
公的承認・位置づけ 2024年に米FDA承認。欧州での臨床実績が先行 韓国MFDSで過去に不正製造・回収問題の指摘あり 米FDA承認。2019年にBIOCELLテクスチャー製品を世界的リコール 米FDA承認(MemoryGel/MemoryShape)
安全性トピックの要点 近年の臨床レビューで被膜拘縮率が低めと報告される研究がある(研究品質には幅あり) 不承認材料の使用など製造不正の学術報告が複数。採用は慎重判断が通例 BIOCELLテクスチャーはBIA-ALCLリスクでリコール。現行のスムース製品は継続利用 長期データが多く、SSEDやコアスタディが公開。形保持性を評価する報告がある
向き・傾向 柔らかさと可動性、傷小さめの挿入を好む層に人気。日本・韓国でシェア拡大 低価格帯で出回った時期があるが、過去問題の影響で選定は要注意 アナトミカルで自然な涙型を作りたい症例や歴史・実績重視で選ばれる 形をしっかり出したい、耐久や米国実績重視の選好で選ばれることが多い

補足と文献ポイント

モティバは欧米や日本の臨床で、被膜拘縮(インプラント周囲の硬化)の発生が比較的低かったとするレビューや前向き研究が出ています。ただし比較研究の数や観察期間には限界があるため、研究間のばらつきには留意が必要です。(PMC)

 

ナトレルは2019年、BIOCELLという粗いテクスチャー表面の一部モデルが、BIA-ALCL(乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)のリスク増加に関連づけられ、FDA要請で世界的リコールになりました。現在のスムース表面製品は継続流通しています。

 

メンターはFDAのSSED(安全性有効性概要)やピボタル試験が公開され、MemoryGel/MemoryShapeの長期成績が蓄積されています。(FDA Access Data, PMC)

 

ベラジェルは韓国で、未承認素材の使用や表示と異なる製造などの不正に関する報告・回収が学術誌でも整理されており、ブランド選定の際に強い注意喚起の対象になっています。(sciforschenonline.org, ResearchGate)

実務的な選び分けのヒント

柔らかさと自然な揺れ、切開小さめを重視するならモティバを提示されることが多いです。アナトミカル(涙型)で上胸が薄い症例に自然な下乳を作りたい場合はナトレルやメンターの選択肢が依然有力です。テクスチャー表面はBIA-ALCLの議論が続くため、スムースをベースに、外科技術・ポケット設計・無菌挿入(ケラーファンネル等)で被膜拘縮を抑える方針が一般的になっています。


各ブランドごとの適応症例

ブランド 適応しやすい症例 避けたほうがよい症例 ポイント
Motiva(モティバ) 痩せ型で皮膚が薄い人・触感や動きの自然さを最重視する人・脇の切開創をできるだけ小さくしたい人・被膜拘縮リスクを極力下げたい人 ・バスト上部を強く持ち上げたい、くっきりした谷間を作りたい場合はラウンド型のデザインを慎重に選択・極度に胸郭が広い症例では容量不足の可能性 ナノテクスチャー表面で拘縮が起きにくく、RFID管理機能あり。日本・韓国で人気。
BellaGel(ベラジェル) ・コストを最重視する場合・韓国渡航で安価な施術を希望する人 品質リスクを許容できない人・長期的安全性を重視する場合・将来的に再手術が予想される症例 韓国MFDSによる不正製造・回収問題の経歴あり。選定には慎重さが必須。
Natrelle(ナトレル/Allergan) 胸板が薄い痩せ型で、上胸にボリュームが欲しい人・自然な涙型バストを作りたい場合(アナトミカル型)・歴史あるブランドを重視する人 ・BIA-ALCLの既往歴やリンパ腫リスクが懸念される場合、旧BIOCELLテクスチャー製品は避けるべき アナトミカル型のラインナップが豊富。スムースタイプ製品は現在もFDA承認下で使用中。
Mentor(メンター/Johnson & Johnson) ・胸板が厚めでしっかり形を出したい人・デコルテや谷間をくっきりさせたい場合・長期データを重視する場合 ・皮膚が薄く柔らかさ優先の症例ではやや硬さを感じやすい・過度な自然さ重視の場合はMotivaやNatrelleの方が適する場合も 米国FDAコアスタディで長期データが豊富。MemoryGel/MemoryShapeシリーズが主流。

 
体型や皮膚の厚み、理想のバストデザインに基づいた適応症例の目安を整理しました。これは臨床論文・FDA資料・臨床経験の報告をもとにした一般的な目安であり、最終判断は必ずJSAPS所属のドクターや形成外科専門医による診察と画像評価(CT、エコーなど)で行う必要があります。
 

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鼻孔縁挙上術には I型・T型・L型 の3種類があり、鼻孔縁(nostril rim)の下がり具合や鼻孔の形状によって使い分けられます。それぞれの特徴や効果、リスクをまとめた表を作りました。

 

あとよくある質問でもある鼻中隔延長術の代替になり得るのかも併せて解説してみました。

 


鼻孔縁挙上術まとめ表

術式 切開デザイン 適応(向いている人) 効果・強さ ダウンタイム 失敗例・リスク 備考
I型 縦方向のみ「I字」シンプルな切開 軽度の鼻孔縁下がり部分的な修正をしたい人 ★☆☆ 弱め・ナチュラル 腫れ少なめ・回復早い ・効果が弱すぎて物足りない・左右差が残る 軽い鼻孔縁下がりに最適。傷が短く目立ちにくい。
T型 縦+横で交差「T字」※縫合時はY字に仕上がる 中度~重度の鼻孔縁下がり笑った時に強く下がるタイプ ★★☆ 中程度~強め 腫れはI型より強い ・過剰切除で鼻孔の形が不自然に・土手狩りリスク中程度 鼻孔縁全体を広く持ち上げたい時に適応。
L型 縦から直角に横「L字」広範囲に切開 重度の鼻孔縁下がり鼻孔そのものを大きく変えたい場合 ★★★ 最も強力 腫れ・ダウンタイム最大 ・土手狩り(鼻腔底隆起切除しすぎ)・鼻孔が三角形や縦長に変形・修正困難 医師の高度なデザイン力と縫合技術が必須。

各術式の解説

I型(軽度修正向け)

  • 目的:鼻孔縁の一点だけを軽く引き上げる

  • 効果がマイルドで自然な変化

  • 傷跡が小さいため目立ちにくい

  • ただし鼻孔縁全体を上げることは難しく、「軽度下がり専用」という位置づけ

  • 効果不足で変化が分かりづらい

  • 中度以上の下がりではすぐに戻る

  • 左右差が残る


T型(中度~重度対応)

  • 目的:鼻孔縁全体をバランスよく持ち上げる

  • 縦切開でrimを上げ、横切開で周囲組織を調整

  • 縫合時は「Y字」状になり、張力分散と自然な仕上がりを両立

  • 笑った時に強く下がる鼻孔縁にも対応

  • 鼻孔の形を全体的に整えられる

  • 切除量が多いと鼻孔が不自然な縦長に

  • sill(鼻腔底隆起)を一緒に切りすぎると「土手狩り」状態に

  • 傷跡が広がることがある


L型(最も強力)

  • 目的:鼻孔縁+鼻孔底全体を強力に引き上げる

  • 縦切開から直角に横へ延ばす切開で、操作範囲が最大

  • 重度の鼻孔縁下がりや鼻孔形状の大幅な修正に使用

  • 鼻孔縁下がりが強いケースでもしっかり改善

  • 鼻孔全体の形を根本から修正可能

  • sill(鼻腔底隆起)を取りすぎることで土手狩りに

  • 鼻孔の付け根がえぐれて三角形・縦長に変形

  • 傷跡が広く、修正手術は極めて難易度が高い

  • 術後の拘縮(つっぱり)で鼻孔が歪むこともある


術式選びのポイント

  1. 軽度ならI型、中度以上ならT型またはL型
    → ただしL型は高リスクなので慎重に。

  2. 土手狩りを防ぐにはsill(鼻腔底隆起)を必ず温存するデザインか確認

  3. 笑顔時の動きも考慮したデザインができる医師を選ぶ
    → 静止時だけでなく、笑ったときも自然かが仕上がりを大きく左右します。

  4. 特にL型では鼻腔底隆起(nostril sill)を切りすぎると土手狩りになり、修正は極めて難しい

  5. 術式だけでなく、デザイン力と縫合技術を持つ形成外科系医師を選ぶことが最重要

鼻孔縁形成は鼻中隔延長術の代替になるのか?

結論から言うと、鼻孔縁挙上術(I型・T型・L型)だけで、鼻中隔延長術のように本格的なACR(Alar-Columellar Relationship:鼻翼‐鼻柱バランス)を改善することは難しいです。
ただし、鼻孔縁の位置をわずかに上げることで、軽度のACR不均衡を目立たなくする補助的な効果は期待できるケースがあります。
 

ACR(Alar-Columellar Relationship)は、正面や斜めから見たときの「鼻翼(小鼻)と鼻柱の高さ・位置関係」のことです。

  • 理想的な状態:鼻柱(鼻の真ん中の柱)がほんの少しだけ下がって見える

  • 崩れた状態:

    • 鼻柱が短く見えるタイプ → 鼻翼が下がって見える、鼻孔縁が強調される

    • 鼻柱が突出して見えるタイプ → 鼻柱が出すぎて鼻翼との境目が不自然

ACRを綺麗に整えるには、鼻翼側・鼻柱側の両方を立体的に調整する必要があります。


鼻中隔延長術とACR

鼻中隔延長は、鼻柱側の構造を根本的に前方・下方へ延ばす手術です。

  • 鼻先を下げる

  • 鼻柱を強調して、ACRを大きく改善できる

  • 鼻翼が上がり、鼻孔が見えにくくなる

ACRを劇的に整えるなら鼻中隔延長が最も効果的です。


鼻孔縁挙上術でできること

鼻孔縁挙上術は、あくまで「鼻翼側」=nostril rimを上に引き上げる手術です。

術式 できること 限界
I型 鼻孔縁の一部を軽く上げる ACR改善はほぼ期待できない
T型 鼻孔縁全体を上げて、鼻孔の形を整える 軽度のACR不均衡を目立ちにくくする程度
L型 鼻孔縁+鼻孔底を強力に引き上げる 鼻柱側が短いと、鼻翼だけ上がり鼻柱が相対的に短く見える可能性

実際の効果イメージ

  • 軽度のケース
    鼻翼がわずかに下がっている場合 → 鼻孔縁挙上で改善し、ACRが「やや整った」印象になる。

  • 中度~重度のケース
    鼻柱自体が短い or 鼻先が下がっている場合 → 鼻孔縁挙上だけでは逆にバランスが崩れる。
    鼻翼だけが上がるため、鼻柱の短さが強調されることがある。


鼻孔縁挙上 vs 鼻中隔延長

項目 鼻孔縁挙上術 鼻中隔延長術
改善ターゲット 鼻翼(nostril rim) 鼻柱・鼻先(鼻中隔)
ACR改善度 ★☆☆ 補助的 ★★★ 強力
リスク 土手狩り・鼻孔変形 鼻先拘縮・硬さ・感染
ダウンタイム 中程度 長い
修正難易度 高い 高い

両者を組み合わせることも

理想的なACRを目指すなら、多くの症例では以下のように組み合わせます:

  • 鼻中隔延長で鼻柱を下げる or 鼻先を前方に出す

  • その上で、鼻翼が依然として下がっていれば鼻孔縁挙上で微調整

この順番で行うことで、立体的かつ自然な鼻翼‐鼻柱バランスが得られます。


術式選びのポイント

  • 鼻孔縁挙上術だけではACR改善は軽度に留まる

  • 本格的な改善には鼻中隔延長で鼻柱側をしっかり延ばすことが必要

  • 鼻孔縁挙上は補助的な手段として「最後の仕上げ」に使うのが理想

  • 鼻孔縁だけを上げすぎると逆に鼻柱が短く見えてしまうため、デザイン力と経験豊富な医師選びが重要です。

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目尻切開は「誰でも同じだけ目が大きくなる」わけではなく、解剖構造や術式によって結果が大きく変わります。二重全切開+目頭切開をしたのに目が小さく見えているのであれば、最終手段である目尻切開法+靱帯移動術で目尻側の横幅を拡大させることが出来ます。

 

目尻切開が切れる/切れないのセルフチェック

自分が目尻切開に向いているかどうかは、目尻の皮膚や靭帯の「伸びしろ」で決まります。

美容外科でよく行われる「後戻りしやすい」は適応の判断ミスが原因でもあるのでチェックしてみてください。

セルフチェック方法

  1. 鏡を見ながら目尻の皮膚を指で外側に軽く引っ張る

  2. 目尻のキワと眼球(白目部分)の距離を観察

結果の目安:

  • 目尻を引っ張ったとき、白目部分がしっかり増える → 切れるタイプ
    → 皮膚に余裕があり、切開で自然に横幅が広がりやすい

  • 引っ張っても白目と目尻のキワがすぐ離れてしまう → 伸びしろが少ないタイプ
    → 切っても開きがわずかで、無理に切ると後戻りしやすい

骨格的な制限

  • 目尻側の眼窩骨(骨のフチ)と白目が非常に近いタイプは切除できる距離が物理的に短く、効果が小さくなります。
    これはCTや経験豊富な医師の診察でないと判定が難しい部分です。


術式による差:後戻りリスクと安定性

目尻切開は「切って皮膚を開くだけ」では後戻りしやすく、仕上がりも不安定です。
靭帯の固定方法が術後の安定性に直結します。 大きく分けると浅いレベルの固定深いレベルの固定に分けられます。

一般的な術式(浅い靱帯のみアプローチ)

  • 目尻の浅い靱帯だけを切離して骨の膜に縫い付ける

  • 手術が比較的簡単で腫れも少なめ

  • ただし深い靭帯は固定していない

安定性の高い術式(骨に穴をあけて固定)

  • 骨に小さな穴を開け、深い靭帯と浅い靭帯の両方を確実に骨に縫い付ける

  • 目尻の位置を骨格レベルで固定できるため、後戻りが極めて少ない

  • 高度な技術が必要で、腫れや内出血がやや強くなる


外科医選びのポイント

  1. 必要時CT撮影を行って骨格を評価してくれるか

    • 骨と白目の距離を正確に測定できる

    • 不要な切開や無理なデザインを避けられる

  2. 深い靭帯までしっかり固定する術式を選んでいるか

    • 「骨に穴を開けて固定」という説明があるかどうかを確認

    • 浅い靭帯のみだと後戻りリスクが高い

  3. 目尻切開+靭帯移動の症例写真が豊富か

    • 少なくとも数百例単位の実績があると安心


目尻拡大手術の考察

  • 目尻切開は「切れる量」が人によって違い、セルフチェックで伸びしろを確認可能

  • 骨と白目が近い人は効果が出にくく、慎重な術式選びが必要

  • 後戻りしにくい術式ができる最低限、形成外科専門医を選ぶことが重要

  • 必要時CT撮影+後戻り防止術式を行うクリニックは検討価値が高いです

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