眼瞼下垂の重度の症状で行われる前頭筋吊り上げ術。
この手術で重要なのが何を使って吊り上げるかです。
自分の筋膜か、人工素材か問題。
ゴアテックスのメリット
まず大きいのは、筋膜採取が不要という点です。
太ももなどに採取創を作る必要がありません。
さらに人工材料なので、使用する材料自体の寸法や性質が比較的一定です。
自家筋膜の採取量や状態に左右されにくいのも実務上のメリットになります。
特に年齢が低く、十分な大腿筋膜を採取しにくいケースや、別部位に傷を作りたくないケースでは人工材料が選択肢になります。
ゴアテックス最大の弱点は人工物であること
ゴアテックスで最も意識する必要があるのが感染、肉芽腫、露出です。
人工物なので、感染した場合には抗菌薬だけでは解決せず、最終的にスリングを抜去しなければならないケースもあります。
筋膜を使う場合
筋膜のメリット
最大のメリットは自家組織であることです。
体内に人工物を永久留置する方法ではなく、自分自身の組織を利用できます。
さらに組織との一体化が期待でき、感染、露出、異物肉芽腫といった人工物特有の問題が起こりにくいことも利点です。
長期成績についても良好な報告があります。
重度先天性眼瞼下垂の小児を平均8年間追跡した報告では、自家大腿筋膜または側頭筋膜を使用した12例中11例で良好または非常に良好な機能的、美容的結果が得られ、再発や過矯正は認められませんでした。
筋膜のデメリット
当然ながら、太ももなどから組織を採取する必要があります。
つまり、まぶただけの手術では終わりません。
採取部位に傷跡が残ること
採取操作が必要になること
十分な筋膜を取れない場合があること
材料だけ見てクリニックを選ぶと危ない
眼瞼下垂のSNSを見ると自家筋膜だから安心・ゴアテックスだから再発しない・この材料だから仕上がりが綺麗といった説明を見かけますが、 MRD1、Bell現象、角膜の状態、左右差、前頭筋の働き、吊り上げ位置 などを診れる外科医でなければ、誤診に繋がります。
地雷を避けるなら診察でここを聞いてください
クリニック選びでは材料の商品名より、以下を確認した方が実用的です。
- 挙筋機能を何mmと評価しているか
- MRD1はいくつか
- なぜ挙筋短縮ではなく前頭筋吊り上げなのか
- なぜ筋膜またはゴアテックスを選ぶのか
- その材料での医師自身の再手術率
- 過矯正と低矯正が起きた場合の修正方法
- ゴアテックス感染時に抜去が必要になる可能性
- 閉瞼不全や角膜障害をどう管理するか
ここまで具体的に説明できる医師なのかを見るべきです。

