二重切開・眼瞼下垂・目頭切開・ハムラ法(脱脂+脂肪移動)で処方されるシンエックは優位効果はない! | 失敗しないための美容相談所~整形ブログ・名医の条件・山口

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③選んではいけない美容外科とは

シンエック、ホントに必要?―美容外科の“アップセル”に惑わされないために―

「二重切開、眼瞼下垂、埋没法、ハムラ法、脂肪吸引にはシンエック必須です」
「これを飲まないと腫れが長引きます」
…カウンセリングでこう言われたこと、ありませんか?

確かにシンエック(アーニカ)は、術後の腫れや内出血を“軽くする可能性”があるサプリですが、医学的には“あった方が良い”程度。必須ではありません。

 

美容外科のシンエック、本当に必要?


以下の比較表を見てください。


■ 脂肪吸引後に使われる主なダウンタイム対策の比較

項目 シンエック(アーニカ) トラネキサム酸(TXA) ステロイド(デカドロンなど) 圧迫・冷却・頭部挙上
作用機序 炎症抑制・微小血管の透過性を低下 抗プラスミン作用で出血・紫斑を抑制 炎症反応を短期的に抑制 物理的に腫れ・血腫を抑制
科学的根拠(エビデンス) 顔面手術で腫れを軽減する可能性(小規模RCTあり)だが結果は一貫せず 多数の臨床試験で紫斑・出血抑制を確認 浮腫軽減に効果あり。ただし紫斑は減らない報告も もっとも確実で再現性の高い効果
効果の体感 むくみ・内出血が1〜2日早く引く程度 紫斑の範囲が小さく、色の変化が早い 初期の腫れが控えめになる 見た目・回復スピードに直結
副作用リスク ほぼなし(キク科アレルギーのみ注意) 胃部不快感などまれ 術後の免疫低下・皮膚菲薄化 なし
費用目安 3,000〜8,000円 1,000〜3,000円(保険外) 数百円〜1,000円程度 無料〜圧迫具代
結論 “あっても良い”が、必須ではない 根拠・コスパともに優秀 一時的に腫れを抑えたい場合のみ 全員が徹底すべき標準ケア

■ 論文での位置づけ

・顔面整形領域でのメタ解析では、アーニカ投与群の腫れ・紫斑が「わずかに減少」
・フェイスリフトや鼻形成では「皮下出血の範囲が縮小した」との報告があるが、統計的に確実とは言えない
・脂肪吸引に限定したRCTはほぼなし。
・一方、トラネキサム酸や圧迫管理には
明確なエビデンスと再現性あり。

 

美容外科の「アップセル」に注意

一部クリニックでは「シンエックを飲まないと腫れが倍になりますよ」と言って、高額なセット販売(1万円超)をすすめることがあります。しかし、国際的な形成外科学会(PRSやAesthetic Surgery Journalなど)の見解では、標準治療ではない=任意サプリメント扱い


要するに、“あってもいいけど、なくても治る”ものです。


これだけは覚えておいて

・シンエックは“サプリ枠”であって“薬”ではない
・効果は小〜中程度、科学的に確実とは言えない
・圧迫・冷却・頭部挙上・減塩・睡眠の方が効果は絶大
・追加料金のアップセルに慌てて乗る必要なし

シンエックで1万円取るのは「医療的妥当性」ではなく「販売ビジネス」

シンエック(アーニカ)は医薬品ではなくサプリメント(ホメオパシー製剤)なので、原価は数百円〜千円台。
つまり、1万円で販売しているクリニックは
利益を目的にしたアップセル(付加販売)
“ダウンタイム短縮”を強調して心理的に買わせるマーケティング

を行っているケースがほとんどです。

 

世界的な形成外科学会誌(PRSやASJなど)でも、アーニカは次のように扱われています。

「術後の腫脹・紫斑を軽減する可能性はあるが、
科学的根拠は限定的で、標準治療とは言えない。」

つまり、
“あっても良い”けど“なくても結果は同じ”
・標準的な外科医は「患者が希望したら出す」レベル

1万円取るほどの医学的根拠は存在しません。病院選びの参考にしてみてください。

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