さて、今回は月組ロミジュリ役替わりバージョンについて。
龍のティボルトは怪しく色気があり、ロミオとの対比がよく表れていた。
「あんなかわいい男の子が、こんな荒々しい青年になるなんて」という、キャピュレット夫人の言葉にも納得。
ティボルトの長髪の鬘もさすがに似合っていた。

一方の明日海ロミオ。
いいとこのお坊ちゃん、イケメンだけど童○っぽい感じが伝わる役作り。
ジュリエットとのコンビも、なんだかかわいらしい二人という印象だった。

役替わり公演といっても、フィナーレは役替わりなし。
浅黒い肌で愛希とデュエットダンスを踊る龍。
なんだか不思議な感じがしたけれど、ナウオンなどで「やっとちゃぴに会えた」的な発言をしているのを聞いていたので、こちらも幸せな気分に。

愛希は相手役がかわって、戸惑うことも多いと思うが、うまくジュリエットを演じ分けていたと思う。

なんか役替りって良いのか悪いのかよくわからないけれど、結局どちらのバージョンも見たいと思う人は思うので、劇団の策略にうまく乗っている感が…。
サヨナラが続いた後は、お披露目が続くのが宝塚の常。
4月退団の霧矢からバトンを受けたのは、研12の龍。
最近、上級生トップが続いていたが、久しぶりに若いトップの誕生である。

筆者の友人はショーブラン以来、龍にはまっていてお披露目を観に大劇場まで行ってきた。
その際に龍ロミオを絶賛しており、筆者自身も楽しみにしていた。
また、この公演はいわゆる月組新体制のもと、龍と明日海でロミオとティボルトを役替わり。
体制への不満・疑問はともかく、どちらのパターンも観に行くことにした。

まずは龍ロミオ・明日海ティボルト。
いい意味で予想を裏切ってくれた、龍ロミオ!!
龍自身、自分はどちらかといえばティボルト~と言っていたように、ヅカファンの多くもそう思っていただろう。
しかし、龍のスタイルの良さ、初々しさ、純粋さ、まっすぐさがまさにロミオで、これはいける!と思った。
もともと歌声がのびやかで、10代の少年らしい元気の良さも表現されていて、「テンション高くてかわいいロミオ」だった。

愛希ジュリエットとの相性も抜群!
転向したてである愛希の娘役に慣れていない部分が、ジュリエットの初々しさにつながったのではないかという印象。
娘役度は舞羽に軍配が上がるが、初々しさやジュリエットの処女性は愛希に軍配が上がるだろう。
ダンスにはもともと定評がある生徒だし、歌唱力も安定していて、転向間もない状態でのトップ就任も納得。

ロミオとジュリエットのシーンで最も印象的だったのは、バルコニーでのキスなのだが、キスするまでの絶妙な間に萌えてしまった。
戸惑いと恥じらいがあるジュリエット、それを感じてちょっと間をおいているロミオ。
ひや~なんと赤面するシーンだろうか。
このシーンだけのために通えると思った次第だ。

さて、明日海ティボルト。
検討しているものの、持ち味的にはロミオ度が高いこともあって、坊ちゃんががんばってひねくれているという感じに思えた。
歌が下手だとか、お芝居が下手ということではないのだけど、ティボルトに合っていない。
要はそれなのだ。
また、間違いなく龍はティボルトが似合うだろうということもある分、明日海は分が悪い気がした。

この公演から組替えとなった美弥。
小柄で愛らしい容姿の男役だが、マーキューシオの狂気やロミオへの友情が感じられるお芝居だった。
愛らしい容姿とは異なり、低く男役らしい声の持ち主でマブの女王なども安心して聞いていられた。
フィナーレでは初の銀橋ソロ。おめでとう!

他にはベンヴォーリオの星条、キャピュレット卿の越乃、ロレンス神父の英間、乳母の美穂が健闘。
特にロレンス英間をまた観れたのがうれしい。

しかし、ロミジュリはもともと役が少ないので、中堅・若手は出番もセリフも少なく勿体ない気がした。
なので博多座や梅田サイズがちょうどいいと思うのだが、夏には星組での再演が決定している。
興業的には収益が高いこともあっての再演だと思うが、吉と出るか凶と出るか。
さすがは大空・野々の退団公演、なかなかチケットが取れず苦戦を強いられた。
しかし、幸運なことに大楽のチケットを手に入れることができ、初のトップスター大楽を経験できたのは、とてもありがたかった。
大空は誕生日が同じということもあって勝手に縁を感じているのだが、筆者の宝塚人生の中で初のお披露目から退団まで、すべての公演(本公演に限定)を観劇したトップとなった。

大空のカッコよさを文章で語るのはとても難しい。
とにかくスタイルが良く、スーツが似合い、そしてキザってもなんでもイケてしまう。
歌が得意でもないし、ダンスが上手というわけでもないのだが、その存在自体のカッコよさですべて許されてしまう稀有なスターだ。

野々は作品ごとにきれいになっていったと思う。
野々を最初に認識したのは、落陽のパレルモの子役とチビエリック。
いやはや、なんとお芝居が上手なんだろう?と思わせる娘役だった。
それでいて実はけっこう踊れもする。
この二人のゴールデンコンビも見納めと思うと、なんだか寂しい気がした。

退団者だけではなく、北翔・鳳翔がそれぞれ組替ということもあって、感慨深い公演となった。

華やかなりし日々は、大空のこれでもか~というイケメンっぷりが発揮。
警察の追手から逃げるため、ジュディの楽屋から去るシーンの指使いだけで泣けた。
ジークフェルド・フォーリーズのシーンがDVDではまるごと音声カットされてしまう等、退団公演としては少々残念なこともあったし、ところどころ眠くなるシーンもあったが…。

クライマックスは三木先生なりに、退団者に気を使ってくれていたと思う。
特に藤咲の階段真ん中降りはGJ。
他にはあまり印象に残っているシーンがないのが残念。
ううむ。

ショーが終わりサヨナラショーでは、大空の思い出の舞台がよみがえった。
特にアランチャでペンライトを振るシーンは、なんだか泣けてしまった。
その時に配られたペンライト、実はまだ使えるので大事にとってある。
藤咲の瞳の中の宝石もとても美しく澄んだ歌声だった。
その他の退団者も歌の上手な人たちばかりで、これでもか!というくらい、耳福だった。
本当に退団が惜しい。

退団者の階段下り前の組長による退団者紹介。
百千・藤咲・花露と緞帳に思い出の舞台映像が映され、観客の涙を誘っていた。
そしてその次は風莉。
華やかな娘役たちとは異なり、おっさん役ばかりが映され、しっとりした雰囲気の客席からは笑いが。
さすがは風莉!!(笑)

大空はじめ退団者の皆の笑顔がとても美しく、心が洗われたサヨナラショーだった。