持続化補助金の申請を終えてから、少し時間が経ちました。
申請書を書いていた頃は、「こんなに考えることがあるのか」と驚きながら毎日のように事業のことを考えていましたが、
不思議なもので、一度経験すると次は違う景色が見えてきます。
最近の私はというと、今度はIT導入補助金というものに興味を持ち始めています。
以前の私なら、「IT」という言葉が付いただけで、「これは若い人向けだろう」と思って終わっていました。
パソコンは最低限しか使えませんし、スマートフォンも電話とLINE、それから天気予報を見るくらい。
そんな私がIT導入補助金なんて考える日が来るとは、自分でも思っていませんでした。
きっかけは、いつものように町へ買い物へ出かけた日のことです。
時間が少し余ったので、何気なく中古書店へ立ち寄りました。
昔から本屋は好きなんです。
若い頃は山歩きの本をよく買いましたし、民宿を始める頃には料理の本や建築の本もずいぶん読みました。
最近はというと、自然と経営や補助金の棚へ足が向くようになっています。
「我ながら変わったなあ」
そんなことを思いながら棚を見ていると、IT導入補助金や中小企業向けのデジタル化について書かれた本が何冊か並んでいました。
一冊手に取り、近くの椅子で読んでみると、思っていたよりも内容が面白い。
「ITを導入する」というと最新のロボットでも買うような話かと思っていましたが、そうではありませんでした。
予約システムだったり、顧客管理だったり、ホームページだったり。
民宿にも関係がありそうなものがたくさん載っています。
読み進めるうちに、「うちの宿でも使えそうだな」と思ったものが三つありました。
一つ目は宿泊予約システムです。
今は電話予約が中心ですが、営業時間外に電話をいただいても出られないことがあります。
ホームページから予約できれば、お客様も便利でしょうし、私も電話を気にしながら畑仕事をする必要が減ります。
二つ目は顧客管理システムです。
宿泊されたお客様の記録を残しておけば、「去年も来てくださいましたね」とお声掛けできますし、季節のお知らせも送りやすくなります。
常連のお客様とのつながりをもっと大切にできそうです。
三つ目はホームページの充実です。
今は宿泊予約サイトからのお客様も多いのですが、できれば自分の宿を直接知っていただき、直接予約していただける流れも作りたい。
そうすれば予約サイトへの手数料も抑えられます。
本を閉じた頃には、
「持続化補助金の次は、IT導入補助金にも挑戦してみたいなあ」
そんな気持ちになっていました。
帰宅してから、その話を株式会社フォレストとの面談メモを読み返しながら考えていると、以前いただいたアドバイスを思い出しました。
「田中さん、いずれホームページも作っていきましょう。」
そう言われていたことを思い出し、本屋へ戻ってホームページ制作やサイト設計について書かれた本も一冊購入しました。
これで少しは勉強できるだろう。
そう思って読み始めたのですが……。
最初の数ページで早くも苦戦しました。
ドメイン。
サーバー。
CMS。
SEO。
レスポンシブ。
専門用語が次から次へと出てきます。
「これは日本語なんだろうか……」
思わずそんなことを考えてしまいました。
何度同じページを読んでも頭に入ってきません。
図もたくさん載っているのですが、図を見てもよく分からない。
気付けば本を閉じて、お茶を飲んでいました。
「これはさすがに難しいな。」
DIYなら多少のことはできます。
柱を立てたり、棚を作ったり、ペンキを塗ったり。
でもホームページは勝手が違います。
私が一から勉強して作るには、少し時間がかかり過ぎるような気がしました。
そんな疑問を抱えたまま、後日株式会社フォレストとの個別面談の日を迎えました。
一通り相談を終えたあと、私は思い切って質問しました。
「ホームページを作って、その先に予約サイトにつなげるというのは、なんとなくイメージはできるんですが、
ホームページを作るって、本を読んでも全然わからなくて。
正直そこまで出来ないんですけど……具体的にはどうしたらいいんですか?」
すると担当の方は笑顔で答えてくださいました。
「田中さん、ご安心ください。全部をご自身でやろうと考えなくて大丈夫ですよ。」
その一言で、肩の力が少し抜けました。
担当の方は続けます。
「ホームページは、低価格で制作してくださる事業者さんへ外注する方法もありますし、
ご自身で少しずつ更新したい場合は、Wixのようなホームページ作成サービスを利用する方法もあります。
最近はテンプレートも充実していますので、文章や写真を入れ替えるだけで十分見やすいホームページが作れます。」
「ブログ形式で情報発信を続ける方法もあります。
宿の様子や季節の景色、お料理の紹介などを積み重ねることで、お客様にも宿の雰囲気が伝わります。」
「大切なのは、全部を自分で抱え込まないことです。
専門家へお願いした方が早い部分はお願いして、ご自身は宿の魅力を伝えることに力を使った方が良いですよ。」
なるほど。
私はそこでようやく気付きました。
本を読んでいて、いつの間にか「全部自分で作らなければいけない」と思い込んでいたのです。
民宿だって同じです。
電気工事は電気屋さん。
水道工事は設備屋さん。
畳は畳屋さん。
自分でできることと、専門の方へお願いすることを分けてきたから、今の宿があります。
それなのにホームページだけは、自分一人でやろうとしていました。
担当の方はさらに、
「補助金は設備を導入することが目的ではなく、その先の事業を良くすることが目的です。
田中さんの宿の魅力をどう伝えて、お客様にどう来ていただくか。一緒に整理しながら考えていきましょう。」
そう話してくださいました。
その言葉が、とても心強かったのを覚えています。
面談の最後には、こんな一言も添えてくださいました。
「ほかにも補助金の申請に関する疑問や質問がありましたら、また面談でお話しいただいても大丈夫ですし、
サポート宛てにメールをいただいても大丈夫ですよ。一つずつ解決していきましょう。」
私は思わず、
「ありがとうございます。」
と頭を下げました。
若い頃は、分からないことを聞くのが少し恥ずかしい時期もありました。
でも60代になった今は、分からないことを素直に聞けるようになった気がします。
聞けば教えてくれる人がいる。
助けてくれる人がいる。
そのありがたさを、若い頃よりずっと強く感じます。
「なるほどなあ。自分でできないことは、人の力を借りればいいんだ。」
その考え方が、とても新鮮でした。
補助金の申請も同じです。
一人では途中で諦めていたかもしれません。
でも、株式会社フォレストの面談やサポートを受けながら、一つずつ疑問を解決し、
書類を作り、次の目標を考えられるようになりました。
持続化補助金の申請を終え、今度はIT導入補助金という新しい挑戦も見えてきました。
宿泊予約の仕組みを整え、ホームページから直接予約をいただけるようになれば、
もっと多くのお客様にこの山の景色や静かな時間を知っていただけるかもしれません。
60代になって夢なんて少し照れくさい気もします。
若い頃なら「夢」という言葉を口にするのは気恥ずかしかったでしょう。
けれど今は、不思議と素直に言えます。
夢は年齢で終わるものではなく、一歩ずつ形にしていくものなのだと。
補助金申請という一枚一枚の書類を書き進めるたび、その夢へ向かう道も少しずつ出来上がっている気がします。
今日もまた、一歩。
そんな歩みを続けられている今の自分を、少しだけ誇らしく思っています。
他の補助金申請に関する記事はこちらです。
2025-10-20 株式会社フォレストの補助金受け取りオンライン説明会は怪しいと思っていたけれど参加してわかったこと
2026-03-26 株式会社フォレストの補助金申請サポートを受けて、民宿の未来が少しずつ見えてきました
2026-04-15 補助金申請書を作りながら、民宿の未来について考えるようになりました