正月のにぎわいが過ぎると、宿の空気も一段落します。

年末年始はありがたいことに満室が続き、台所も帳場も慌ただしくしていましたが、

松の内が明けるころには、お客様の足も少しずつ落ち着いてきました。

ふっと肩の力が抜けると同時に、「今年もまた、この静かな時期が来たな」と思います。

外に出ると、まだ春は遠く、冷えが肌に刺さるようです。

朝、戸を開けて一番に感じる空気の硬さは、冬の山里ならではでしょう。

吐く息は白く、掃き掃除の途中で手がかじかむ。

日中も陽だまりはあるのに、風が通ると背中がすっと冷える。

こういう寒さの中にいると、身体まで縮こまって、知らないうちに動きが鈍くなっていく気がします。

民宿の仕事は、忙しい時期は自然と体を動かしますが、静かな時期は逆にじっとしてしまいがちです。

このままでは体が硬くなるな、と感じて、最近は朝にラジオ体操をしています。

といっても、昔ながらの音声だけではなく、今は動画で動きを確かめながら。

便利な世の中になりましたね。

画面の向こうの先生に合わせて腕を回し、背伸びをし、膝を曲げる。

たった数分のことですが、体の節々が「起きたぞ」と言うように温まっていきます。

最初は半分義務のように始めたのですが、続けていると意外に気持ちが良い。

肩が軽くなり、足の裏に血が巡る感覚がする。

何より、朝の体操を終えると、頭の中まで少し明るくなるのです。

冬の静けさの中で、自分の呼吸や体の調子に耳を澄ませる時間が、思った以上に大切だと気づきました。

寒さはまだ続きますし、春の足音はもう少し先でしょう。

それでも、こうして小さく体を動かしながら日々を整えていると、

季節が変わる準備を自分の中で進めているような気持ちになります。

宿も私の体も、固まらないように、少しずつ、丁寧に。

冬の合間の一息は、そんなことを教えてくれる時間です。