2024/7/1落語 林家つる子師匠「しじみ売」上野鈴本 | 「久蔵」と「ヒヨコ」の日記

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鈴本7月上席(7/1〜10)夜の部で主任(トリ)をつとめる林家つる子師匠の初日の情報です。

15:30過ぎ、鈴本の前を通るも20名ぐらいが並んでいる状況。

上野松坂屋の地下の「天一」で天どんを食べる。

食事を終わって鈴本の前に行く。40人前後が並んでいる状態になっている。

16:25入場。
本日は林家正蔵師匠に代わって古今亭菊之丞師匠でした。正蔵師匠には申し訳ないですがラッキーでした。菊之丞師匠の話も聴けて最高でした。

林家つる子師匠の噺は「しじみ売」、人情話でした。

この話はしじみ売りの長吉が口入れ屋の奉公人の留に下駄泥棒と間違えられるところから始まる。口入れ屋の主人の稲葉屋清五郎はしじみ売りの長吉に、そのお詫びに蜆を笊ごとそっくり、買ってやると言う。そして、そのまま前の川に放して来いという。「きょうはおふくろの命日だ。放生会だ」。

腹すかしの長吉に助六寿司とお茶を出してやる。

つる子師匠の熱いお茶をすすって体を温める長吉の演じ方がうまい。ゆっくりと、まるでお酒を飲むようなしぐさでお茶を飲み「あぁ~」とつぶやく。これを時間をかけて三度もやる。

 

そして、長吉は助六寿司は竹の皮に包んで持ち帰るという。家で寝たきりの盲目の母親に食べさせたいという。感じ入った清五郎はさらに、小判3枚を「薬代だ」と渡そうとするが、長吉は断る。「小判は遠慮します。小判は嫌だ。恨みがあるんだ」と長吉。それで清五郎は事情を訊く。

 

姉は深川で芸者をしていて、田原町の下駄問屋の若旦那といい仲になった。若旦那は勘当され、一緒に小間物屋を開いた。しかし、若旦那、商いはとんとできっこない。借金がかさみ、吉原の女郎になると姉は言い出した。若旦那はそれは済まない、死んでお詫びをすると言うと、ならば「私も一緒に死ぬ」と、吾妻橋で身投げしようとした。そこをある旦那が見つけて、引きずり下ろした。「俺に任せろ。命を粗末にするな」。そう言って、20両を恵んでくれた。名前は教えてくれなかった。

 

20両で借金を返し、小間物屋を再開したが、良いことは続かない。近所の質屋に泥棒が入った。調べが入った。「この20両は?」と訊かれ、若旦那は「見ず知らずの人に貰った」の一点張り。母親は泣きすぎて、盲目になった。

 

清五郎が長吉に言う。「この金は?と訊かれたら、稲葉屋清五郎に貰ったと言えばいい。また困ったら、うちに来な」。長吉は小判を受け取り、礼を言って、帰っていった。清五郎が後ろから言う。「冬っていうのは寒くて辛い。嫌になっちまうほど厳しい。だが、そう長くは続かない。必ず春がやって来る。それを楽しみにしなよ。おっかさん、大事にな」。

 

下げは「その旦那はなぜ名前を名乗らなかったんでしょう?」と留が訊く。そこで清五郎は「その旦那は俺なんだよ。これから番所に行く。良いことをした、人の命を助けたと天狗になっていた鼻をへし折られたよ」。「これじゃあ、助けた甲斐がない」「貝がないから、蜆を買った」。

 

今更ながらつる子師匠はうまい。もっともっと、話を聴きたくなる。